研究課題/領域番号 |
15040221
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (60190857)
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研究分担者 |
澤田 誠 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (10187297)
山本 紘子 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20148258)
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン / グルコシルセラミド / ガングリオシド / ミクログリア / γ-セクレターゼ |
研究概要 |
昨年度で見つけた異常の原因を探るべく現在まで研究を展開してきた。 a.家族性ADの脂質代謝異常の原因:前年度の研究で変異型PS1を発現する細胞ではグルコシルセラミドの合成抑制、ひいてはガングリオシドの合成抑制が明らかとなったため、その分子機序を明らかにすることを目的とした。まず、野生型、変異型PS1を発現する細胞を免疫細胞化学的にグルコシルセラミド合成酵素(GlcT-1)に対する抗体で観察すると野生型、空ベクターのみを発現する細胞では核周囲のゴルジ装置に明らかな免疫原性を認めたが、変異型では認めなかった。そこで、抗-GlcT-1抗体を用いた免疫沈降法によりこれら細胞に発現するGlcT-1量を比較すると変異型ではあきらかに同タンパク量が著減していた。現在、なぜ変異型でのみGlcT-1量が著減していたのかその分子機序を解明中で、この点が明らかになれば変異PS1の異常な作用の実態が解明できる。現在、鋭意論文作成中である。 b.MGに関する研究:神経保護的、神経障害的両MGの脂質分析を行ったところ、神経障害的MGではグルコシルセラミドのsteady state levelが減少しており、したがってガングリオシド総量も減少していた。そこで、グルコシルセラミドを細胞培養液に投与し超音波処理後細胞に投与したところ、神経保護的MGは投与後1日で80%の細胞に細胞死が惹起されたが、神経障害的MGには影響を与えなかった。そこで、この外因的にグルコシルセラミドを投与された神経障害的MGのサイトカイン産生能をRT-PCR法でプロファイリングすると、そのプロファイルは神経保護的MGと同様な所見を示すことが判明し、これら両サブタイプでは相互変換が起きる可能性が示唆された。この知見は今後本細胞を神経疾患の治療に細胞担体として利用しようとする場合極めて重要な情報と思われる。
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