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2006 年度 実績報告書

中世日本列島北部・サハリンにおける民族の形成過程の解明ー市場経済圏拡大の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 15068201
研究機関北海道大学

研究代表者

天野 哲也  北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)

研究分担者 増田 隆一  北海道大学, 創成科学共同研究機構, 助教授 (80192748)
深沢 百合子  東北大学, 大学院国際文化研究科, 教授 (90316282)
右代 啓視  北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸第一課長 (30213416)
キーワード擦文文化 / アイヌ文化 / オホーツク文化 / 鉄鍋 / ガラス玉 / 地域間関係 / 古代DNA / クマ送り
研究概要

今年度は,(1)アイヌ文化・社会の定義の再検討と(2)オホーツク文化の担い手・集団の解明を中心に取り組んだ。
前者では,鉄鍋や鉄鋼製品,木製品,ガラス玉について収集・分析を進めた。鉄鍋については14世紀半ば以降の製作地として能登仲居が推定できた。厚真町モイ遺跡のアイヌ期住居の年代査定では13世紀以降の中世と近世の2時期を抽出できた。ガラス玉では,北海道への4つの流入ルートが押さえられた。木製品では4367点の資料を206種の分類体系にまとめ分析した結果,中世と近世の間に大きな飛躍が捉えられた。
一方,鉄器の普及に関しては,北海道と東北では擦文期後半に格差があることが判明した。地域間関係では,交易活動の活発化に伴って成立した擦文地域集団が中世アイヌに引き継がれ,日本海北部集団はサハリンアイヌの母体となったとの見方が出された。道北のチャシは古代に遡る可能性が指摘され,サハリンと北海道をつなぐ機能が想定されている。土器の中間的属性分析の結果から,道央と道南が擦文土器成立当初から比較的疎遠な関係であったことが捉えられた。他方,浜大樹2遺跡の竪穴住居祉の14C年代では10C後半〜11C前半となり,道東部太平洋側への擦文文化の波及という点で注目される。
オホーツク文化の担い手・集団の解明については,7月に「国際シンポジウム骨から探るオホーツク人の生活とルーツ」を実施した。特に,形態小変異の解析からオホーツク人の道北・道東2グループの地域的・集団的違いが指摘され,古代DNA分析から,オホーツク人がニヴフやウリチに近縁であることが示された。考古学では,道東部と道北部のオホーツク集団が,成立当初からの文化的違いを背景にした複数集団により成立した可能性が指摘された。
クマ送り儀礼に関する研究では,動物学,植物学,昆虫学,民族学,考古学,日本史学,文学,自然保護の専門家からなる『ヒグマ学入門』を上梓した。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (15件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 古代東北北部地域・北海道における鉄鋼製品の生産と流通2007

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 雑誌名

      古代蝦夷からアイヌへ

      ページ: 308-323

  • [雑誌論文] モイ遺跡出土のAMS年代とアイヌ期の住居との関係を中心に2007

    • 著者名/発表者名
      小野哲也
    • 雑誌名

      A01班平成18年度研究成果報告会要旨集

      ページ: 1-3

  • [雑誌論文] 擦文文化後半期に関する年代諸説の検討2007

    • 著者名/発表者名
      小野裕子
    • 雑誌名

      古代蝦夷からアイヌへ

      ページ: 391-417

  • [雑誌論文] 美々8,K39,ユカンボシC15の木製品の比較から2007

    • 著者名/発表者名
      藤井誠二
    • 雑誌名

      A01班平成18年度研究成果報告会要旨集

      ページ: 4-10

  • [雑誌論文] オホーツク文化研究におけるモヨロ貝塚遺跡の意義2006

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 雑誌名

      骨から探るオホーツク人の生活とルーツ-形質人類学・遺伝学による研究-

      ページ: 8-16

  • [雑誌論文] アイヌ文化形成の諸問題-歴史教育におけるアイヌ文化の意味2006

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 雑誌名

      北方世界の交流と変容-中世の北東アジアと日本列島-

      ページ: 122-133

  • [雑誌論文] クマはなぜ畏敬の念を抱かれたか2006

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 雑誌名

      ヒグマ学入門

      ページ: 148-160

  • [雑誌論文] 稚内市泊岸1号・2号チャシの地形測量調査報告2006

    • 著者名/発表者名
      右代啓視
    • 雑誌名

      北海道開拓記念館調査報告 第45号

      ページ: 87-106

  • [雑誌論文] ヒトとヒグマの考古学2006

    • 著者名/発表者名
      小野裕子
    • 雑誌名

      ヒグマ学入門

      ページ: 109-123

  • [雑誌論文] 北海道における陶磁器の受容形態-陶磁器が副葬された墓をめぐって-2006

    • 著者名/発表者名
      越田賢一郎
    • 雑誌名

      陶磁器の社会史 第3巻中世篇

      ページ: 90-101

  • [雑誌論文] 北海道における刀剣類副葬の意味を考える2006

    • 著者名/発表者名
      越田賢一郎
    • 雑誌名

      北の出土刀を科学する

      ページ: 187-217

  • [雑誌論文] 異文化・商品・共生-交易と古代北海道狩猟採集社会の転換2006

    • 著者名/発表者名
      瀬川拓郎
    • 雑誌名

      考古学研究 53-2

      ページ: 40-53

  • [雑誌論文] 擦文社会と日本海地域2006

    • 著者名/発表者名
      瀬川拓郎
    • 雑誌名

      日本海域歴史大系 第2巻

      ページ: 435-462

  • [雑誌論文] Ancient DNA analysis of brown bear skulls from a ritual rock shelter site of the Ainu culture at Bihue,central Hokkaido, Japan2006

    • 著者名/発表者名
      Masuda, R.
    • 雑誌名

      Anthropological Science 114

      ページ: 211-215

  • [雑誌論文] ヒグマの多様性と進化2006

    • 著者名/発表者名
      増田隆一
    • 雑誌名

      ヒグマ学入門

      ページ: 35-49

  • [図書] 古代蝦夷からアイヌへ2007

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 総ページ数
      432
    • 出版者
      吉川弘文館
  • [図書] 北方世界の交流と変容-中世の北東アジアと日本列島-2006

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      山川出版
  • [図書] ヒグマ学入門2006

    • 著者名/発表者名
      天野哲也
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      北海道大学出版会

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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