研究課題/領域番号 |
15068208
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
金原 正明 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (10335466)
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研究分担者 |
長友 恒人 奈良教育大学, 教授 (80031582)
大山 明彦 奈良教育大学, 助教授 (70324952)
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20143357)
高橋 学 立命館大学, 文学部, 教授 (80236322)
斉藤 成也 国立遺伝学研究所, 教授 (30192587)
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キーワード | 中世 / DNA分析 / 農耕 / 環境変遷 / 花粉分析 / 珪藻分析 / 地形解析 / 炭化米 |
研究概要 |
根来寺坊院跡では、アカマツを主とする森林植生の形成、アブラナ科花粉が多く、アブラナの栽培の可能性が示唆され、通常17世紀代から盛行するアブラナ科植物の栽培が16世紀から行われている可能性が考えられた。倉跡の炭化種実は、オオムギ、イネを主に、アワ、ヒエが検出され、中世農耕のコメに加えムギ類を主とする畑作の盛行が示唆された。名護屋城跡では当時は樹木のアカマツが多く、人里周辺に多いクワ科-イラクサ科、イネ科の雑穀類が繁茂していた。珪藻分析から、鯱鉾池は水生植物が繁茂する流水の環境が示唆され、相対的にやや浅い水域を呈し水草が繁茂し水は比較的流れていた。山里丸や前田利家陣跡の池跡は常時は湿地であった。他に鳥取県門前上屋敷遺跡、上伊勢遺跡で、屋敷の周囲の溝、畑跡の試料採取および花粉、珪藻の分析、土壌断面解析を行った。また、韓国金海地域の分析、中国杭州湾岸の上部堆積物の分析を継続した。中世大友府内町遺跡において、サンプリングを行い、調査分析を開始した。静岡県磐田郡浅羽町の沿岸洲内側の赤堀池跡で11mのコア、奈良県宇陀郡室生村の大和高原の竜王渕で5.5m、伊降渕で4.5mのボーリングを行い、珪藻分析、花粉分析、帯磁率測定と放射性炭素年代測定を行った。DNA分析では、PCR実験の条件、とくに、プライマーの設計に細心の注意を払うと共に、多種類のプライマーを組み合わせて、実験条件の最適化を探った。地形解析では、11世紀に生じた河床低下と15世紀末から17世紀にかけて生じた天井川の形成などは極めて重要なエポック気候変動の結果であり、この地球環境の変動のトリガーとして、ラ・ニーニャなどの西太平洋のフィリピン海の海水温の動向が注目されるため、海洋衛星NOAAのデータと、ランドサットTMデータを用いて、画像解析を行った。データベースは、特に栽培植物について重点的に資料を収集し、画像も含めたデータベース化を検討し継続した。
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