研究概要 |
亀井班は「景徳鎮窯陶瓷器研究」の一環として,16年度は元青花瓷に焦点をしぼり研究を行い,その成果は17年の夏に公刊できる。 1.中国出土の元青花瓷資料集成:中国各地の遺跡から発見されている元青花瓷の出土地名表の作成,全ての資料(遺跡概要・写真・図面)の集成をおこなった。その結果,中国全土で60遺跡が確認できること,確認総数は200点以上であるが,大型の盤は1点も出土していないこと,いわゆる略描体も少数ながら含まれていること,などが確認できた。この詳細は,今年夏に刊行を予定している,本科研報告書で公表する。 2.日本出土の元青花瓷資料集成:わが国各地の31遺跡から出土している元青花瓷にっいて,資料集成に着手し,秋田県脇本城を北限とし,東京都葛西城・新潟県至徳遺跡・福井県朝倉氏館跡・同豊原寺華蔵院・同法土寺跡・長野県小曾崖城・博多遺跡群10箇所・箱崎遺跡群について,再実測をし,調書の作成を行なった。 この研究の一環として,沖縄県久米島町具志川グスク出土の陶瓷器について,同町教育委員会と協同して,元青花瓷を中心にした調査を行なった。その結果は,301片の元青花瓷は,双耳罐2個体分に,図上接合できた。この詳細については,同町から報告書を刊行する予定である。 3.平成15年度の調査研究成果報告書の刊行:本科研の初年度に実施した研究成果を,A4版120ページにまとめて刊行し,全国の研究機関および研究者・本科研参加者・中国など国外研究機関および研究者などに配布した。その内容は,裏面[雑誌論文]に記載する。 手塚班は、「日本中世における貿易陶磁器の生産と受容の構造的理解」の一環として16年度は昨年度に引き続き、沖縄県久米島ナカの浜海底遺跡の採集遺物の資料化をおこなった。これまで数ヶ所に分散して所蔵されていた陶磁器を現在判明している所蔵者から借り出し、実測図作成、写真撮影をおこなった。その結果、本資料は器種、種類とも非常に単純な構成であることが判明した。この成果は本年夏までに刊行予定である。 また、北方地域に於ける陶磁器の受容実態解明のためロシア極東歴史学・考古学・民族学研究所とのクラスキーノ土城の発掘調査をおこなった。発掘調査の結果、日本隊の調査地区では陶磁器資料は大変少なく、思ったほど成果を挙げることはできなかった。この成果本年夏までに刊行予定である。
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