研究概要 |
亀井班は,元代に景徳鎮窯で生産された青花瓷に焦点をしぼり研究し,「中国出土元青花瓷資料集成」を完成し,研究報告書として公刊した。これは,出土の全資料を悉皆的に集成し,待望されていた資料集であり,中文と邦文を併記し,英文サマリーをつけ,内外の研究者に役立つように配慮した。これ以外に以下に列挙する調査を実施し,その成果は来年度の研究報告書で発表する。 (1)ロシア極東考古学研究所保管の渤海三彩陶の調査(2)モンゴル国立歴史博物館保管のカラコルム出土陶瓷器の予備的調査(3)首里城出土元青花瓷の悉皆的調査(4)内モンゴル・オロンスム遺跡採集の陶瓷器の調査(5)陶瓷器の胎土・釉薬の化学分析(東京学芸大学二宮修治教授と共同研究),陶瓷器の地磁気測定による年代・生産地解明(富山大学酒井英男教授と共同研究)(6)磁州窯・竜泉務窯跡の調査(7)久米島具志川グスク出土青花瓷の報告書の刊行(8)平成16年度研究報告書の刊行,なお,モンゴル国立歴史博物館保管陶瓷器の調査について,同館と3箇年にわたる調査議定書を締結した。またシンポジュウム「シルクロード探見」を専修大学と共催して実施した。 手塚班は、前年から引き続き沖縄県久米島町の「ナカノ浜海底」から採集した陶磁器の実測をおこない、その報告書を刊行した。12世紀後半〜13世紀前半にかけての青磁劃花文碗、青磁櫛掻文碗、皿、褐釉陶器等、この時期沖縄本島から出土する貿易陶磁器の構成と一致する良好な資料である事を確認し、また、貿易船の船路についても金沢陽氏(研究協力者)の論考を掲載した。また、遺跡西側のオーハ島(東奥武島)海底遺跡(15世紀前半〜15世紀中頃)の陶磁器資料を実測している。同時期の海底遺跡として知られている石垣島名蔵シタダル採集の貿易陶磁器も比較検討のため、今年度中に実測を終わり、報告書を刊行する予定。
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