研究課題/領域番号 |
15068214
|
研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
五十川 伸矢 京都橘大学, 文学部, 教授 (30127047)
|
研究分担者 |
久保 智康 京都国立博物館, 学芸課, 工芸室長 (50234480)
横田 冬彦 京都橘大学, 文学部, 教授 (70166883)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (30132822)
|
キーワード | 考古学 / 日本史 / 美術史 / 分析科学 / 鋳型 / 鋳物師 / 伝世鏡 / 蛍光X線 |
研究概要 |
(1)日本国内で続々と発見されつつある鋳造遺跡の調査をおこなった。そのうち、福岡市筑紫鴻臚館跡(福岡市教育委員会調査)、千葉県市川市北下遺跡(下総国分寺鐘と推定・千葉県文化財センター調査)などでは、遺存状態のよい鋳造土坑が検出され、中子や外型を設置する底型がよく残っており、梵鐘鋳造技術の解明に良好な資料となることが判明した。(五十川) (2)京都市山科区御陵平林町所在の安祥寺所蔵梵鐘の調査を実施し、実測図と拓本を作成して製作技術の観察をおこなった。本鐘は、14世紀初頭に河内の鋳物師が製作したものであり、その紋様意匠は、鎌倉時代の定型化した梵鐘であることを示し、その製作技術は、古代の梵鐘とは異なった鋳型の分割法をとることも判明した。これは、京都大学文学部考古学研究室との共同調査である。(五十川) (3)群馬県富岡市一ノ宮に鎮座する貫前神社に伝来する青銅鏡の調査を実施し、その紋様意匠や製作技術から系譜関係を追究した。日本の鏡作りは、平安時代後期から江戸時代前期まで、1面1笵製作を基本とすると考えてきたが、これは銅鏡製作を中世・近世を通して主導した京都の鋳鏡工房の製作技術であり、地方の在地の鋳造工人の鏡製作では、踏み返し鋳造も行われたと考えるに至った。(久保) (4)地域別中世梵鐘鋳物師一覧、地域別真継家支配鋳物師一覧の作成を継続しておこなった。(横田) (5)鹿児島県湧水郡勝栗神社所蔵の中世鏡について、携帯式の蛍光エックス線装置を現地に持ち込んで材質調査を実施し、一度に大量の鏡を分析して、各種の産地を推定した。砒素を含むものと、そうでないもの、鉛を多く含むものに大別でき、その違いは、使用した地金の出自によるものと推定できる。すなわち、前者は国産、後者は中国産ではないかと推定されるが、さらに今後検討したい。(内田)
|