研究課題
1.目的本計画研究の目的は中世の拠点城郭と都市について、考古学、建築史、歴史地理学、歴史学、情報工学といった異なった学問分野の研究者が従来の「学際」の枠を超えた「学融合」を果たすことで、新たな分析方法を開拓し、新領域を創生していくことにある。2.学融合の模索そこで本年度は合同研究会として大分市の大友府内遺跡を踏査し、発掘された城下遺構、絵図など複数の学問領域にまたがる物質資料群の解釈を共同で試みた。この結果、文字史料との差異や絵図と遺跡との比較検討、絵図制作の背景など、個別資料の検討だけでは浮かび上がってこない新たな分析の視覚を得ることができた。大友府内遺跡については、中世京都の都市プランとの関連性で読み解く必要も指摘され、次年度に実物の「洛中洛外図歴博甲本・乙本」を熟覧を行う研究会を開催してさらに検討を深める。3.CG制作具体的な学融合の方法を模索するプラットホームとして、また新時代にふさわしいITを利用した研究成果の公開を準備するために北海道上ノ国勝山館のCGの制作を進めた。本年度は基本的な地形および建物の描写まで作業を完了した。これをもとに次年度に学融合的な研究会を開催する予定である。4.調査イギリス・ベルギー都市遺跡・建築の比較調査(千田・玉井)、イギリスの絵図比較調査(長谷川)、岩国・新潟・延暦寺などの歴史地理学調査(藤田)などを実施した。5.成果の公開千田と玉井が公開シンポジウム「中世総合資料学の可能性」で成果を報告し(11月)、小島は日仏国際シンポジウムでChateaux et villesを報告した(3月)。また千田はイギリスでThe Medieval Castles of Japan-Castles and the Unification of the Realm-を報告した(3月)。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)