研究課題/領域番号 |
15069204
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高月 紘 京都大学, 環境保全センター, 教授 (80026228)
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研究分担者 |
渡辺 信久 京都大学, 環境保全センター, 助教授 (10291212)
水谷 聡 京都大学, 環境保全センター, 助手 (80283654)
中明 賢二 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (90072652)
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キーワード | 倫理学 / 科学教育 / 環境技術 / 廃棄物処理 / 有害化学物質 |
研究概要 |
実際に実験を行っている時の化学実験室での作業環境測定と、もたらされるリスク、実験室内での要因について、考察を行った。通常の作業環境測定では、「良好な作業環境」と評される状態であったが、実験室隣接のデスクスペースにおいて、有機化学物質が検出された。これらの濃度は、管理濃度より2桁低いが、長時間滞在する場所でもある。ユニットリスクや滞在時間を考慮して、生涯発ガンリスクを試算したところ、10の-4乗程度のレベルであった。環境基準設定などの目安となる10の-5乗より、一桁高いが、作業環境としての観点も必要である。これらの有機溶媒の発生源は、主として、実験操作中の揮発によるものであるが、意図していない揮発について調べた。それぞれ、揮発濃縮操作後の冷却濃縮回収での散逸、HPLCの溶離液捕集容器からの揮発、オープンカラムクロマトグラフィーでの揮発、ビーカー分取時の揮発、廃液貯留ポリ容器からの揮発、である。どれも、揮発ポテンシャルを持つが、とりわけ冷却濃縮について、溶媒性状に併せた温度と圧力を設定することの重要性が明らかとなった。すなわち、ジクロロメタンなどの低沸点物質を取り扱うときには、トルエンなどの高沸点物質を取り扱うときよりも、十分に温度を下げるか、大気圧に近い圧力での捕集が必要である。これらの情報は、実験に夢中になっていると、意外と気づかれずになっている様子である。また、リスクについては、環境リスクなどの概念も交え、理解・合意しやすい管理方法を構築し、環境安全学のひとつの章に形作る必要がある。
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