研究分担者 |
黄 琳琳 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助手 (60359685)
中静 真 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (10251787)
清水 昭伸 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (80262880)
萩原 義裕 岩手大学, 工学部, 助教授 (80293009)
縄野 繁 国立がんセンター東病院, 放射線部, 部長
|
研究概要 |
本研究では,臓器の形状やお互いの空間的位置関係に対する一般的な解剖学的な知識を持ち,かつ診断機能を含み,大きな病変を含む臓器であっても高精度なセグメンテーションを可能とし,複数臓器全体を整合性をもって抽出できるセグメンテーション手法の開発を目的としている.本年度はその基本的な部分の開発を行った.構成は大きく2つのプロセスに分かれる.前段のプロセスは抽出目標である各臓器の粗抽出であり,空間的な位置関係,階層性やネットワーク性を考慮して,各臓器の大まかな領域抽出を行う部分である.次の処理プロセスが各臓器の領域の精密抽出部分であり,可変形状モデル(Level Set Method)に基づき,排反性等を考慮し,モデル相互の協調動作に基づき最適化を図る部分である.臓器同士が重ならないこと,臓器間の位置関係が予め知識として保持している状態と整合した抽出を可能とする手法を考案した.今年度は提案手法の基礎的検討に主眼を置き,対象臓器も腹部CT像の腎臓,脾臓,及び肝臓の同時抽出に焦点を絞って研究を進めた.肝臓に大きな肝細胞がんや嚢胞を含む症例でも肝臓領域全体が抽出できる手法であること接触臓器の境界が正しく求められる手法の開発を目的とした.提案手法をマルチスライスCT装置で撮影された17症例34画像に適用したところ,胃壁や脾臓への過抽出が一部あったものの,従来手法では抽出できなかった大きながんや嚢胞などの異常部位を肝臓領域に正しく含めて抽出できることが確認された.また,従来法では隣接する腎臓と脾臓との重なりが生じるケースにおいても,開発した手法では安定に接触部分も抽出できることが確認され,本研究で目的としている基本的な手法の確立ができたと考えられる.
|