研究課題
CADシステムの構築に役立つ情報を与えることを目的として、「信号」としての異常所見の画像所見上の特性と、解剖学的雑音と撮像系の物理的雑音を併せた「雑音」の特性について、撮影系の機器特性と被ばく線量との関係を含めて検討しているが、これまでに以下の結果を得た。胸部単純X線像における解剖学的ノイズが明瞭ではない肺結節の検出能に与える影響について、肋骨との関係に注目して検討を行った。正常な胸部単純デジタルX線画像の中から、一定のサイズの区画画像を肋骨との関係に着目する形で抽出し、一区画画像の中心にコンピュータを使用して擬似結節を埋め込んだ画像を用意して読影実験を実施した。その結果、肋骨間において最も有意に結節の検出能が高い結果となり、肋骨の存在は解剖学的ノイズとして結節の検出能を確かに低下させることがわかった。また、肋骨と結節との位置関係が結節の検出能に与える影響については、肋骨の上縁、肋骨の中、肋骨の下縁の順で結節の検出能が低下すると推定されたが、その差はかなり少ないものであるということがわかった。さらに、物理的な雑音の一定以上の増加は、解剖学的ノイズと同等以上の影響を与えることもわかった。CT画像の画質特性のうち、雑音が、撮像条件、画像再構成条件および患者体格や撮像部位によりどう変化するかを、CT検診用に考案したノイズ参照ファントムを用いて分析を試みた。その結果、考案したファントムが、条件の違いを反映したCT画像ノイズの定量的指標の測定に有用である可能性を示す結果を得た。4機種のマルチ検出器CTについて胸部検査時の種々の臓器組織被ばく線量を人体型ファントムにより測定し、ICRP60に従って実効線量を計算した。線量は、走査方法および技術的な条件によりかなり異なったが、条件の見直しで低減が可能となった例があり、マルチ検出器CTでも条件設定により線量低減は可能と考えられる結果を得た。
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