研究概要 |
【目的】本研究計画班では,マルチスライスX線CT(MDCT)装置から得られる人体内部構造の精細な三次元ボリュームデータを用いて,びまん性肺疾患を対象とした局所病理形態理解に基づく知的CADシステムを実現することをめざす.本研究にて実現されるCADシステムでは,びまん性肺疾患に関する客観的で定量的な情報が医師に提供され,第二の意見(セカンド・オピニオン)として利用され,画像診断が困難とされるびまん性肺疾患の診断論理の明確化と診断精度の高度化に貢献することが期待される. 【実績】平成15年度に行った研究は,びまん性肺疾患を対象とした局所病理形態理解に基づく知的CADシステムを実現の最初として,特発性間質性肺疾患を対象とした特徴解析を行った.特発性間質性肺疾患の診断は高分解能CT(HRCT)の進歩により診断の信頼性・正確度が非常に高くなってきたが,依然としてその診断は困難なものである.我々は,発症頻度の高い特発性肺線維症(IPF/UIP)・非特異型間質性肺炎(NSIP)・特発性器質化肺炎(COP/BOOP)を対象として計算機による特徴抽出と解析を行ない,その鑑別診断を試みた.特徴解析は,放射線科医が設定した陰影の関心領域を用いて行なった.特徴量は関心領域のパワースペクトラムから求め,最近傍決定則を用いて分類をした.57症例の関心領域画像を用いて実験を行なった結果,分類率は80.7%であった.この結果は,平成16年1月のバイオメディカルイメージング連合フォーラムで発表した.また本年6月にシカゴにて行われる国際学会に発表の予定である.
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