研究概要 |
【目的】本研究の目的は,マルチスライスX線CT(MDCT)装置から得られる人体内部構造の精細な三次元ボリュームデータを用いて,びまん性肺疾患を対象とした局所病理形態理解に基づく知的CADシステムを実現することである. 【実績】本年度の研究成果の概要は以下のとおりである. I. MDCTボリュームデータを用いたびまん性肺疾患のパターン分類 肺全体のびまん性陰影を正常を含む7つの陰影パターンに分類して,これらを識別するアルゴリズムの開発をおこなった.正常陰影の識別率は98.5%であり,粒状影を除く他の陰影の識別率はいずれも90%以上となった.また粒状影に関しても72.8%の識別率がえられた.これにより肺内のびまん性異常陰影のパターン分類をほぼおこなうことができるようになった.これらの結果はH19年1月におこなわれたシンポジウムにて報告した. II. びまん性陰影(特にコンソリデーション)を含む肺のセグメンテーション びまん性陰影の解析の時に問題となるのは,胸壁に広汎に接したコンソリデーションが存在するような場合である.このような場合解析対象としてこの部分が欠損しないようにするためには通常の二値化処理では困難であるので,正常肺をテンプレートとして用いたセグメンテーションの手法を開発した. III. 共通プラットフォームの開発 開発したCADアルゴリズムを医師に使ってもらうためには,GUIを備えた使いやすいシステムが必要である.またさまざまなCADアルゴリズムを評価・運用するためにはそれらが実行できる共通プラットフォームが必要とされる.われわれは,開発したCADアルゴリズムをプラグインとして実装し,医師が使いやすいインターフェースを備えた共通プラットフォームを開発した.
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