研究概要 |
本研究計画は、235-650GHzの炭素原子・一酸化炭素分子スペクトルにより、我々の銀河系内、および銀河系の伴銀河である大小マゼラン銀河、および近傍の銀河内の星間ガス諸相の分布、運動、物理状態を徹底した掃天観測をもとに明らかにし、これらの銀河群(局所群)における、星間ガスの進化と星形成メカニズムの解明を目指す。そのため、本研究計画では、水蒸気量が少なく、ミリ波・サブミリ波の透過係数が高いチリ共和国のアタカマ砂漠に移設させる口径4メートルのミリ波・サブミリ波望遠鏡「NANTEN2」を用いて、観測研究を行う。 1 NANTEN2望遠鏡の開発と建設 主要な課題は、新鏡面の開発、新駆動系の開発、アストロドームの開発、アタカマ現地における基礎・電源設備工事等のインフラストラクチャの整備等である。 ほぼ、所期の目標を達成しつつあり、基礎工事、電源工事、アストロドーム製作が完了している。2004年夏頃には現地においてテストを開始し、受信機を用いたテスト観測を2004年末に開始できる見通しである。現状で主鏡面精度35ミクロンrmsが達成されている(March,2004)。また、ラスカンパナスにおいて駆動系を更新しOTFのテストを行い、予定通りの駆動性能が発揮できるなど、良好な結果を得ている。(March,2004)。 2 サブミリ波帯受信機の開発 2SBによる100-500GHz帯受信機の開発をすすめ、同時に、ドイツケルン大学との共同によってサブミリ波帯アレイ受信機の開発を進めている。実験設備の整備として、高等総合研究館に受信機開発システムを整備しつつあり、今後の名古屋地区における開発の拠点化の見通しが立っている。ケルン大学等との国際ワークショップを2回開催し、詳細仕様を検討した(May and November,2003)。
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