研究概要 |
1.チリの標高4800mに設置されたサブミリ波望遠鏡、NANTEN2、の開発を進め、指向精度、駆動性能、主鏡面精度等の測定調整を行った。フォトグラメトリ法測定により、20ミクロン程度の鏡面精度を達成し、惑星を用いた460/810GHz連続波の測定で求めた主ビーム能率は50%(460GHz)、45%(810GHz)を記録した。また、ケルン大学の受信機システムとのハードウエア・ソフトウェアインターフェースの構築も行なった。これらの結果、サブミリ波望遠鏡としての総合性能を確保した。 2.9月から460/810GHzでの本格的なサブミリ波天文観測を開始した。観測ターゲットは、大小マゼラン雲、大質量形成領域(りゅうこつ座、ばら星雲等)、系外銀河、銀河中心領域等、観測スペクトルは、CO(4-3,7-6),CI(1-0,2-1),^<13>CO(4-3)等であり、高温・高密度下での物理量決定にこれらのサブミリ波観測が本質的な役割を果たしていることが明らかになりつつある。現在、初期成果論文として、10本程度の論文をまとめているところである。 3.NANTEN2によるサブミリ波での観測計画の検討をすすめ、並行して「なんてん」によって得られた星間分子雲の観測結果を解析した。その結果、1.マゼラン雲の巨大分子雲の物理的性質と進化を解明、2.マゼランブリッジに8個の分子雲を検出して、形成途上の原始銀河である可能性を指摘した、3.ASTE望遠鏡他による観測から原始球状星団ガス塊候補を発見する、4.銀河中心領域に磁気浮上する分子雲ループの発見、等の成果が得られた。
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