研究課題/領域番号 |
15071205
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小川 英夫 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20022717)
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研究分担者 |
米倉 覚則 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (90305665)
堀中 博道 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60137239)
安藤 浩哉 豊田工業高等専門学校, 助教授 (30212674)
土橋 一仁 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20237176)
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (50372454)
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キーワード | 大質量星 / 星形成 / 電波天文学 / ASTE / 超伝導 / ミクサ / 偏波計 / ミリ波サブミリ波 |
研究概要 |
従来、ミリ波帯観測装置では、受信機のシングルサイドバンド(SSB)化は準光学方式の干渉計や機械式同調方式などでイメージバンドにフィルタをかけることにより実現していた。しかし、これらの方式は必ず可動部品を伴うため、再現性や経年変化など問題点があった。これに対し、ミリ波帯導波管型ハイブリッド等を採用することで、同調機構なしに広帯域にSSB化(サイドバンド分離型ミクサ)が可能となる。この開発を進めた結果、入力周波数90-115GHz(IF=4-8GHz)にわたり、SSB雑音温度60K、最小雑音温度50K(@100GHz)、サイドバンド比10dBの性能を持つ受信機の開発に成功した。さらに150GHz帯(125-163GHz)において、SSB雑音温度45K、サイドバンド比10dB以上の値のサイドバンド分離型受信機の開発に成功している。これはALMAの受信機として採用されることになっている。220-230GHz帯においても、雑音温度100K以下、サイドバンド比10dB以上の性能を達成した。この受信機を60cm電波望遠鏡に搭載しCO(J=2-1)の分子輝線観測に成功した。これらの性能は各周波数帯のサイドバンド分離型ミクサとしては、世界最高の部類に属する。 上記開発と並行して、大質量星の形成の場である巨大分子雲中の高密度コアの探査を継続した。本年度は、りゅうこつ座渦状腕において、チリ・アタカマ砂漠に設置されている国立天文台ASTE望遠鏡を用いて、345GHz帯のCS(J=7-6)およびCO(J=3-2)輝線の観測を行なった。これまでに、赤外線点源を伴わない高密度コアを検出するなどの成果が得られつつある。 さらに東京学芸大学のグループは光学写真のデータベースであるDigitized Sky Survey (DSS)を用いた暗黒星雲の広域探査に取り組んだ。DSSの1043枚の写真乾板のデータに天文学の伝統的な研究方法であるスターカウント法を適用することで銀緯±40°以下の広大な領域を完全カバーする減光量マップ(Avマップ)を完成させることができた。このDSSに基づく広大な減光量マップは世界初であり、今後の展開が期待される。
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