研究課題
分子性結晶[Ni(tmdt)_2]は、単一種の分子のみから構成された最初の金属である。一方[Au(tmdt)_2]は粉末X線構造解析より[Ni(tmdt)_2]と同形の結晶構造を持つが、ニッケル錯体とは異なり分子全体で奇数電子を持つことから、この対を作らない電子の振る舞いが注目されてきた。[Au(tmdt)_2]のこれまでの研究から[Au(tmdt)_2]は110K付近で反強磁性相転移をし、相転移温度以下でのFermi面の存在が磁化率測定、第一原理バンド計算により示唆されてきた。これまでは粉末試料での伝導度測定を行っていたので、この系の金属性についての疑問が残されてきたが、本年は、多結晶試料による測定から、4Kまで金属的伝導度を示すことが明らかとなった。また[Au(tmdt)_2]の高圧下での結晶構造変化をSPring-8の放射光を用いて調べた。ダイアモンドアンビルセルを用いて、Au(tmdt)_2の粉末結晶により波長は0.49998Å、圧力媒体はフロリナートを使用し、10.66GPaまでの圧力下の測定を行った。結晶の各軸の長さは圧力が増すに従いほぼ一様に減少し体積が常圧の76%程度となった。構造について調べてみるとAu-Sの平均距離は2.278Å、結晶構造を調べると[100],[110]方向に短い硫黄・・・硫黄接触距離が見られるが、特に大きな変化が起きているのは[100]方向であった。3.339Åから2.708Åに変化している。拡張ヒュッケル方による強束縛近似バンド計算を各圧力下で行った。常圧の時には連続して一枚のフェルミ面が見られ、5.50GPa以上の圧力下では、a*方向に一次元的であったフェルミ面はすでに分裂し、二次元的となった。このほか有機結晶が超高圧下で、中性単一分子性金属となるかどうかについてTMTTeN(tetramethyltetratelluranaphthalene)を用いて検討した。
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