研究課題
有機電荷移動錯体の巨大非線形伝導とそれによる電流振動現象を不均一に生じた電荷整列の競合によって解明した。最初にこのような現象が発見されたθ相の有機導体以外に、(TSM-TTP)(I_3)_<5/3>、(EDT-TSF)_2GaCl_4、(MDT-TS)(I_2Br)_<0.420>、β-(meso-DMBEDT-TTF)_2PF_6などといつ有機導体で相次いで同様の巨大非線形伝導を見出し、それぞれの特徴から非線形伝導の起こる機構について議論した。特に、有機電荷移動錯体(EDT-TSF)_2GaCl_4において、非線形伝導により金属的伝導が回復する電流誘起金属状態を見出した。この種の現象は低温において電気抵抗が中途半端に増加する電荷移動錯体の伝導機構について重要な示唆を与えるものである。エキゾティックな有機伝導体の開発としてインコメンシュレート有機超伝導体(MDT-ST)(I_3)_<0.417>のフェルミ面を量子振動の測定により精密に決定した。以前の(MDT-TSF)(AuI_2)_<0.436>の場合とはかなり大きな違いが生ずるが、これは組成が0.436から0.417へと微妙に変わったことを反映するものであり、インコメンシュレートポテンシャルによるフェルミ面の再構成に関する我々の解釈が正しいことを証明するものとなった。また、インコメンシュレート有機超伝導体(MDT-TSF)(I_3)_<0.422>の電荷移動量やフェルミ面を各種測定から精密に求め、組成による超伝導性の変化について明らかにした。
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