ドナー-アクセプタ-型分極分子に基づく単一成分導体および特異な導電体の開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15073212
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 山下 敬郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90116872)
• 研究分担者: 西田 純一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (70334521)
• キーワード: 有機半導体 / 有機FET / 有機電導体 / 単一成分導体 / 分子性結晶 / 有機酸化還元系

研究概要

新規なp-型半導体としてチオフェンオリゴマーにチアゾロチアゾール骨格を導入した分子の芳香族アルデヒドから出発する一般的な合成法を確立し、数種の誘導体を合成した。これらを用いたFETデバイスを作成し、構造と物性との相関を明らかにした。これらのうちビスジチエニル誘導体では良好なホール移動度が観測され、かつ空気中での高い安定性が得られた。また、共役系を拡張したテトラチアフルバレン誘導体から新規なp-型半導体を開発した。n-型半導体としては強い電子受容性を有するジシアノピラジノキノキサリン誘導体を合成した。これらは従来合成が報告されていない新規分子であり、フェニレンジアミン誘導体の求核置換反応を利用した新しい合成反応を開発することで合成することが出来た。これらを用いたデバイスでの電子の移動度は10^<-6>cm^2/Vs程度であったが、n-型特性を示すアセン型分子の最初の例となった。また、この研究では分子構造とFET特性との関係を明らかにできた。また、TTF骨格にキノン構造や電子受容性のピラジン環を導入し、新規なドナー-アクセプタ-分子を合成した。これらは酸化電位も還元電位も示す、電気化学的に両性の性質を示した。単結晶が得られたものではX線結晶構造解析を行ない、分子間相互作用の様子を明らかにした。さらにTTFビニローグ誘導体にピラジン環を導入することに成功した。これらはビニル位にフェニル基を導入することで酸化還元挙動を制御出来た。

研究成果

• [文献書誌] M.Tomura, Y.Yamashita: "Unsymmetrical Tetrathiafulvalene with a Fused 1,2,5-Thiadiazole Ring and an Ethylenedioxy Group"Acta Cryst.Sect.E. 59. o145-o147 (2003)
• [文献書誌] Y.Yamashita, K.Suzuki, M.Tomura: "Novel Electron Acceptors Containing Thiadiazole and Thiophene Units"Synth.Met.. 133-134. 341-343 (2003)
• [文献書誌] M.Akhtaruzzaman, M.Tomura, J.Nishida, Y.Yamashita: "Linear Molecules with Ethynylpyridine and Bisbenzothiadiazole Units"Synth.Met.. 137. 873-874 (2003)
• [文献書誌] M.Akhtaruzzaman, M.Tomura, K.Takahashi, J.Nishida, Y.Yamashita: "Unusual Hydrogen Bonding Networks Consisted of π-Extended 4,4'-Bipyridines and Chloranilic Acid"Supramolecular Chemistry. 15・4. 239-243 (2003)
• [文献書誌] T.Kumagai, M.Tomura, J.Nishida, Y.Yamashita: "Preparation, Structure and Properties of Novel 1,3-Dithiole-2-ylidene Derivatives Containing Bis(ethynylpyridine) Units"Tetrahedron Lett.. 44・36. 6845-6848 (2003)
• [文献書誌] M.Tomura, Y.Yamashita: "(1,3-Dithio-2-ylidene)propanedinitrile"Acta Cryst.Sect.E. 59. o1941-o1943 (2003)