研究課題/領域番号 |
15073212
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山下 敬郎 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (90116872)
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研究分担者 |
西田 純一 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (70334521)
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キーワード | 有機半導体 / 有機トランジスタ / 分子性個体 / 構造・機能材料 / 有機エレクトロニクス / 合成化学 |
研究概要 |
有機電界効果トランジスター(OFET)の分野のブレークスルーには活性層に用いる高いキャリア移動度の有機半導体の開発が不可欠である。特にn-型半導体の開発がp-型に比べて充分に進んでいないことから、n-型半導体の開発が急務である。本研究ではテトラチアフルバレン(TTF)誘導体などの特異なヘテロ環化合物を用いた革新的な分子により高いキャリア移動度の実現を目指した。TTF誘導体ではキノキサリン縮合体が良好なp-型特性を示すことを以前、報告したが、今回、クロルおよびフッ素を置換した誘導体は、電子ドナー性が低下し、これらのFETデバイスはn-型特性を示した。電子移動度は両者とも0.1cm^2/Vsと高く、n-型特性を示すTTF誘導体の最初の例となった。一方、ヘテロ環を非対称に縮環したTTF誘導体は、p-型特性を示し、FETの極性が有機半導体のフロンティア軌道エネルギーで決定されることを明らかにした。我々はヘテロ環オリゴマーの末端にトリフルオロメチルフェニル基を導入してn-型のFETを開発しているが、これらのFETデバイスでは閾値が55-78Vと高く、実用化のためには閾値の低下が必要であった。今回、電子親和性の大きいヘテロ環オリゴマーを新規に設計、合成したところ、FETデバイスは3V(移動度0.19cm^2/Vs)の非常に小さい閾値を示した。また、そのデバイスは発光性を示し、発光強度がゲート電圧に強く依存する発光FETデバイスを作成できた。従来、n-型の発光FETはほとんど知られていないが、小さなHOMO-LUMOギャップのためにホール注入が出来て発光特性を示したと考えられる。さらに、新規なn-型半導体として、ピラジン環をコアとして有するヘテロ環化合物なども合成し、分子構造とFET特性の関係を明らかにし、高性能有機FETのための分子設計の指針を示した。
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