研究課題/領域番号 |
15073219
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
伊与田 正彦 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (50115995)
|
研究分担者 |
西長 亨 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (30281108)
桑谷 善之 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授B (00234625)
|
キーワード | テトラチアフルバレン / TTFオリゴマー / ソルバトクロミズム / サーモクロミズム / 自己会合挙動 / 分子ワイヤー / カラム構造 / ヘキサゴナル構造 |
研究概要 |
複数のTTFユニットが規則的に並んだ構造をもつTTFオリゴマーは、自己会合によって種々の機能性を示す分子である。本研究では、トリス(テトラチアフルバレノ)ヘキサデヒドロ[14]アヌレン、トリス(テトラチアフルバレノ)ドデカデヒドロ[18]アヌレン、ヘキサキス(テトラチアフルバレニルエチニル)ベンゼンを合成してその自己会合挙動に基づく機能性の発現を調べた TTF[14]アヌレンの物性で最も特徴的であるのは、ソルバトクロミズムであり、二硫化炭素中で顕著な色の変化と電子スペクトルの長波長シフトを示した。また、TTF[14]アヌレンは銀カチオンと2対1の錯体を作り、非常に大きなサンドイッチ構造を溶液中で形成した。TTF[18]アヌレンはベンゼンおよびトルエン中で会合挙動を示し、そのトルエン溶液を冷却すると溶液の色が赤から紫に変化した。このサーモクロミズムは、分子の会合挙動によっており、室温ではモノマーであるが、低温では多量体に変化することに起因している。 ヘキサキス(テトラチアフルバレニルエチニル)ベンゼンは対応するヨードTTFとヘキサエチニルベンゼンの薗頭反応によって比較的好収率で合成することができた。この分子は、フレキシブルであるが分子内CH…S相互作用によってディスク状の構造をとり、中性状態およびカチオンラジカル状態のいずれにおいても非常に強く自己会合する分子であった。このような性質から、この分子は中性状態・溶液中でシリンダー状のカラム構造を作り、さらに固体状態では分岐の多い分子ワイヤーを形成した。また、この分子ワイヤーのXRD測定からこの分子のワイヤーはヘキサゴナル構造をもつことがわかった。さらに、この化合物を固体基盤上で薄膜とすると、基盤に対して垂直に並ぶ性質をもち、この薄膜のXRDは分子ワイヤーのそれとは異なっていた。興味深いことに、この薄膜は弱いながらFET特性を示した。
|