研究課題/領域番号 |
15073223
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
薬師 久弥 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 教授 (20011695)
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研究分担者 |
山本 薫 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90321603)
中村 敏和 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (50245370)
古川 貢 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90342633)
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キーワード | 分子導体 / 電荷秩序 / 赤外・ラマン分光 / 振動分光 / 金属・絶縁体転移 / BEDT-TIF |
研究概要 |
この特定研究では電荷秩序状態へ相転移する分子導体の相転移前後における電子状態を赤外・ラマン分光法と磁気共鳴法を用いて解明することを目的としている。平成19年度は以下のような研究を行った。 (1)振動分光法による研究:β-(meso-DMBEDT-TTF)_2PF_6は常圧で金属絶縁体転移を起すが、高圧力により絶縁相は抑制され、超伝導転移を起す。常圧の絶縁相に2種類の状態があることを見出した。70K以下の構造相転移を伴う振幅Δρ=0.5の電荷秩序状態と70K-100Kの構造相転移を伴わない振幅Δρ=0の電荷均一状態である。後者の電子状態は複数の電荷秩序配列が競合して高速でゆらいでいる状態であると考えている。ラマン分光を用いて温度圧力相図を作成した。相図上の電荷秩序相は低圧力の限られた領域でのみ存在し、超伝導相直上の絶縁相は電荷均一状態である。また、電荷均一絶縁相と電荷秩序相の間の広い領域に両者が共存する電子相がある。この共存相はおそらく、単位格子が2倍化した短距離秩序状態が元の格子の電荷均一状態に成長する過程に相当していると解釈することができる。実際にメゾズコピックなスケールで空間的に不均一な電子状態をとっていることが観測された。 (2)磁気共鳴法による研究:^<13>C NMR測定により(TMTTF)_2PF_6塩の基底状態近傍における電荷状態並びにダイナミックスを調べ、中間常磁性相における電荷秩序状態(振幅ρ〜0.14)がスピンパイエルス転移において解消していることを見いだした。また導電性ヘキサベンゾコロネンナノチューブについてESRならびにNMR測定を行い、ヨウ素ドープによりキャリアが生成し,一次元ヘリカル的な電気伝導を行っていることを明らかにした。
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