研究課題/領域番号 |
15073226
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石橋 章司 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究グループ長 (30356448)
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研究分担者 |
寺倉 清之 北海道大学, 創成科学研究機構・特定研究部門, 教授 (40028212)
浅井 美博 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究グループ長 (20192461)
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キーワード | 分子性固体 / 有機導体 / 計算物理 / 物性理論 |
研究概要 |
一軸性圧縮が有機導体の電子状態に与える影響について、擬一次元伝導体TTF-TCNQを例にとって第一原理計算により調べた結果を論文として発表した。 単一成分からなる分子性導体であるNi(tmdt)_2、Au(tmdt)_2の電子状態計算を前年度に引き続き行なった。両者は同じ結晶形をとり格子定数も近いが、価電子数が1だけ異なっており、電子状態にも差がある。前者についての計算結果は、磁気量子振動実験によるフェルミ面の観測結果をよく再現し、実験結果と合わせて論文として発表された。後者については、フェルミ準位近傍の電子バンドの素性と感受率の波数依存性の詳細な調査を行ない、この物質の電子構造の特徴を明らかとした。また感受率が逆格子ベクトルの1つa^*の半分の大きさの波数でピークを持つという計算結果に基づき、α軸方向に2倍にとった単位胞でスピン分極を考慮した計算を行ない、スピン分布を求めた。これらの結果を論文として発表した。 Au(tmdt)_2の外側のS原子をSe原子に置換して得られるAu(tmstfdt)_2分子もAu(tmdt)_2と同じ結晶形をとり、その格子定数も近い。この場合は価電子数も等しい。しかし、SをSeに置換した事による微妙な分子間の重なりの変化が、フェルミ面の形状に有意な変化をもたらす事が、電子状態計算より明らかとなった。Au(tmdt)_2で見られた感受率の顕著なピークも失われている事がわかった。 その他、Ni(hfdt)_2、Cu(dmdt)_2、Zn(tmdt)_2などについても電子状態計算を開始・継続し、Ni(hfdt)_2についての電子状態計算の結果の一部は実験結果と合わせて論文発表された。
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