研究課題
(1)金属ガラスの基本組成であるZr-CuおよびZr-Ni非晶質合金の高エネルギーX線回折実験による構造解析を行った。また、型締め鋳造法により大形状のバルクZr-Al-Ni金属ガラスを創製し、熱的安定性や機械的性質を調べた。さらに、76Kの過冷却液体域(ΔTx)を持つZr-Al-Cu合金にCo添加したZr-Al-Cu-Co金属ガラスが、90Kと大きいΔTxを持つことを明らかにした。(2)金属ガラスの変形中の軟化現象は応力誘起機構で生じるが、軟化試料の粘性流動は摩擦発熱による温度上昇を引起す。この上昇値が、変形速度以外にも治具の熱伝導率に依存することを明らかにし、本現象を利用した材料創製の可能性を示した。(3)良好なガラス形成能を示す合金系としてZr基金属ガラスに着目し、Zr薄膜中へのNiイオン注入による組織形成について検討を行った。また、耐腐食性に優れたマグネシウムシリサイド(Mg_2Si)におけるアモルファス被膜形成について検討を行った。さらに、Ni-P非晶質合金のYAGレーザ照射による結晶化過程のXRDおよびナノインデンテーションによる評価を行い、非晶質/結晶の複合組織が最も高い硬さを持つことを明らかにした。(4)非晶質合金および金属ガラスが高強度特性を持ち、しかも優れた耐食性、耐水素脆性を示すことに着目し、これら合金の水素透過係数を調べた。その結果、Ni-Nb-Zr非晶質合金の水素透過係数が実用材であるPd-Ag合金を上回ることを見出した。また、Ni-Nb-Zr非晶質合金の局所構造についてX線回折を用いて解析し、水素透過は、Zr-Rich領域で行われていることを見出した。
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