研究課題/領域番号 |
15074203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
才田 淳治 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (20359540)
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研究分担者 |
LOUZGUINE D.V. 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60302212)
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キーワード | 金属ガラス / ナノ準結晶 / 相変態 / 二十面体原子配列 / 局所構造 / 微細構造解析 / 過冷却液体 / 動的構造変化 |
研究概要 |
これまでの研究の結果、金属ガラスからのナノ準結晶析出は過冷却液体状態で生成される二十面体局所構造がガラス固体中にも安定に存在することによるものと考察されてきている。このような考察をもとに、Zr_<70>Cu_<30>やZr_<70>Al_<10>Ni_<20>金属ガラスと初晶ナノ準結晶の析出状態の局所環境をX線吸収端微細構造解析(EXAFS)を用いて解析し、ナノ準結晶析出状態においても局所環境がガラス状態のそれと大きな違いがないことを明らかにしてきた。さらに、バルク金属ガラスに重要な元素であるAlの役割について、その局所環境を核磁気共鳴法(NMR)等によって明らかにした。以上の結果は、過冷却液体の安定性におよぼす二十面体局所構造や特定元素周囲の再配列の要否等、ガラスの安定性に係わる重要な知見を総合的に評価することができた成果である。 二十面体局所構造が安定に生成すると考えられるZr_<65>Al_<7.5>Ni_<10>Pd_<17.5>バルク金属ガラスの圧縮変形挙動を調べた結果、一般のバルク金属ガラスとは異なり、7%近い塑性変形を示すことを明らかにした。このような大きな塑性変形能を発現するメカニズムとして、圧縮変形破面付近の透過電子顕微鏡(TEM)によるナノスケール解析の結果、変形帯の移動にともなって動的な微細結晶析出が起きることを見出した。またこのようなナノスケールの動的構造変化のメカニズムについて明らかにした。これに関連して、安定化局所構造を積極的に利用した新しい核生成制御方法の開発による新規金属ガラス合金の創製研究にも取り組み、ガラス遷移直上の比較的低温での核生成制御が有効であることを示した。
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