金属ガラスは機械的性質に優れるとともに異方性がなく、耐食性に優れ、かつ微小寸法構造部材への加工性にも優れることから、MEMSなどの超微小デバイスへの展開にきわめて適している材料である。ところで、このような超微小デバイス部材に金属ガラスを適用する場合、材料の寸法がミクロンサイズになったときの弾性率、強度、破壊靭性、疲労特性などの機械的性質を評価することが、信頼性、耐久性を確保した設計を行うために重要であるばかりでなく、微小デバイスに適した金属ガラスの材料開発においてきわめて重要となってくる。しかしながら、このような超微小部材に対する機械的性質評価は、試験自体がきわめて困難で、試験法も開発されていない。したがって、金属ガラスを微小デバイスの構成部材として展開させるためには、その材料評価法の開発が急務である。本研究では、金属ガラスを極微小デバイス用構成材料へ適用する際に最も重要となる機械的性質(弾性率、強度、破壊、疲労特性)と信頼性評価法を開発することを目的としている。本年度は、申請者らが開発した微小材料試験機を基にして、これに改良を加えることにより、金属ガラスから切り出した微小部材に適した材料試験法の検討を行うとともに、予備的な試験を試みた。試験機の機能確認の試料には、これまで研究代表者らが標準試験片とし、その力学特性が明らかになっているNi-Pアモルファス合金薄膜を用いた。試験片のサイズとしては、MEMSなどのマイクロデバイスへの応用を考慮し、通常サイズ試験片の1/1000とした。集束イオンビーム加工機を用い、Ni-Pアモルファス合金薄膜よりミクロンサイズ試験片を切り出した。作製した微小試験片に対して、引張、曲げ試験を行った結果、本試験装置を用いることにより、金属ガラスの微小試験片の機械的性質評価が可能となった。
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