研究課題
平成15年度においては、研究代表者らが開発した微小材料試験機も基にして、金属ガラスの微小試験片に適した材料試験法の検討を行い、予備的な試験を試みた。平成16年度においては、開発した試験機を用いて、金属ガラス薄膜から作製した微小試験片に対する材料試験法を確立させるための研究に着手し、集束イオンビーム加工機(FIB)による試験片作成と試験を行ったが加工に用いるイオンの影響が大きく、真の特性は求めがたかった。平成17年度においては、過去の研究成果を参照し、微小金属ガラス材料に対する材料試験法を確立させるための研究を更に進め、以下の項目に対して研究を進める。1)東北大学金属材料研究所から提供を受けた金属ガラス試料から集束イオンビーム加工機以外の方法を用いて、通常サイズ材料の約1/1000であるマイクロサイズの引張試験片、曲げ試験片を作製する方法の開発。2)作製した試験片で引張試験、曲げ試験などの静的試験を行ない、金属ガラス微小試験片に対して機械的性質を計測するとともに、大阪大学と共同で、試験後の微小金属ガラス試験片に対しての透過電子顕微鏡解析を行ないその変形・破壊過程を検討する。3)金属ガラスをMEMSデバイスへ適用させるためには、耐久性、信頼性の評価とともに変形機構の解明もきわめて重要となる。そこで、疲労ならびに破壊試験が行なえるように装置の改良をさらに進めるとともに、金属ガラス微小試験片の疲労、破壊についても検討を進める。上記1)に関しては新たに電解研磨を用いてドッグボーン型引っ張り試験片(直径90ミクロン以下)の作成方法を確立し、引っ張り試験を成功させた。また、透過電子顕微鏡直接観察を可能にするため、プレスによる超微細加工法の開発に着手し、ダイアモンド型の加工に成功した。これらの成果を総合し、金属ガラスの加工法による影響を最小限にして微小試験片の機械的性質評価法を確立させる方法に目途をつけた。
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