研究概要 |
中性子回折ならびにX繰回折を用いて得られたNi33.3Zr66.7とNi25Zr60Al15金属ガラスの構造因子S(Q)を基にして,リバースモンテカルロ(RMC)法により3次元構造モデルの構築し,得られたそれぞれの金属ガラスの構造学的特徴を明らかにし,第3添加元素による構造安定性を議論した. リバースモンテカルロ(RMC)計算により得られたNi33.3Zr66.7とNi25Zr60Al15金属ガラスの構造モデルの部分構造因子Si-j(Q)を比較しその違いを明らかにすると共に,この3次元構造モデルにおける多面体解析を行い,それぞれの金属ガラスを構成する多面体の分布を明らかにした. Zr原子周りの多面体はNi33.3Zr66.7ならびにNi25Zr60Al15金属ガラスで良く似ており,二十面体もしくはそれに類似な多面体が多く存在し,Al添加により二十面体的多面体の増加が見られた.それに対して,Ni原子周りにおいて,Ni33.3Zr66.7金属ガラスではプリズム関連の多面体で構成されていることが分かった.特に,(028000)で示されるアルキメデス反プリズムはNiZr2結晶のNi原子周りに存在する多面体である.しかし,Alを添加したNi25Zr60Al15金属ガラスのNi原子周りの環境は,大きく変化し,プリズム的多面体の割合が減少し,二十面体もしくはそれに類似な多面体が増加することが分かった.さらに,Al原子周りの多面体では,二十面体もしくはそれに類似な多面体が多く存在することが分かった. 第三添加元素によりNi-Zr系金属ガラスも安定化する事実は明らかであるが,本研究により第三元素の添加により二十面体もしくはそれに類似な多面体が増加することが明らかになったことから,金属ガラスの形成能や安定性には二十面体もしくはそれに類似な多面体の存在が重要であると結論することが出来る.
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