研究概要 |
バルク金属ガラスのナノ結晶化前駆状態での構造評価の基礎データを得るために、Zr基金属ガラスの溶接材料に対し、位置走査異常小角散乱実験を行なった.ZrおよびCu,NiのK吸収端での異常小角散乱により、溶接条件のみが異なる同じ組成の試料の突合せ溶接材2点について、0.3x0.5mm2のスポットに絞ったX線を照射位置を溶接ビート部から熱影響部まで走査し,散乱強度の位置による変化を調べた. バルク金属の熱処理に伴う構造変化には、密度変化、結晶化、組成変調があり、ナノ結晶化を引き起こす、あるいはバルクガラス状態が高安定となる鍵となる構造変化が何であるかを明らかにすることは、ナノ結晶化組織制御の観点からも非常に重要である.われわれは異常小角散乱法を用いてこれらの構造ゆらぎの分離を試みるため、まず結晶化の有無、熱履歴(最高到達温度)など、大きな変化を内部に持つ試料を利用して、散乱プロファイルの変化を詳細に調べた. 主要材料であるZrのK吸収端での実験結果より,結晶化の認められる試料と、マクロには認められない資料において組成ゆらぎのコントラストが逆転していることが明らかになった.また、散乱強度成分には、位置、熱履歴依存性の強いクラスタの小角散乱(組成ゆらぎ)成分と、それとは異なる波数依存性をもつ安定なゆらぎ成分が存在することが明らかになった.これらの成果を現在投稿準備中である.
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