研究課題/領域番号 |
15074211
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 伸泰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30263213)
|
研究分担者 |
安田 秀幸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60239762)
小林 紘二郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70026277)
|
キーワード | ARB / メカニカルアロイング / フェムト秒レーザー / 衝撃波 / 超急冷 / 過冷融液 / 結晶成長 |
研究概要 |
強ひずみ加工に伴うアモルファス・金属ガラス形成のメカニズムを明らかとするために、ZrとCuの異種金属積層体に対して、ARBプロセスによる強ひずみ加工を室温で対数相当ひずみ14まで行なった。強ひずみ加工により原子レベルの混合が生じ、主にZr相中にCu原子が混合した過飽和固溶体が形成される事、また混合が進行するとZr/Cu界面からアモルファス相が形成される事が明らかとなった。ARB材に対してDSC測定を行なうと、昇温にともない特徴的な発熱ヒークが生じ、そのうちの390℃近傍にピークを持つ発熱反応は、thermally activated amorphizationに相当する事が明らかとなった。400℃熱処理によって試料の大部分はアモルファス化し、また400℃熱処理材はDSC測定時に明瞭な吸熱反応、すなわちガラス遷移を示し、強ひずみ加工により作製されるアモルファス相が金属ガラスである事が明らかとなった。すなわち、本年度の研究によって、強加工を用いた固相プロセスによる金属ガラス創製が可能である事が確認された。 一方、別のプロセスルートによる表層金属ガラス材料創製法を確立する事を目的に、超高圧および超急冷を同時に達成するフェムト秒レーザーをバルク結晶金属表面に照射し、金属表層にこれまでにない金属ガラス合成を目指した。CuTi結晶合金にフェムト秒レーザーを照射し、斜入射X線回折法で表層の結晶構造を調べた。その結果、表層にはアモルファス構造と、母相とは異なる結晶構造が存在することがわかった。 凝固過程における金属ガラス形成のメカニズムを明らかにする観点では、無容器プロセスを利用して金属ガラスを形成するZr-Ni-Al, Zr-Cu-Al、ならびにZr-Ni、Zr-Cu2元系合金も含めて、過冷融液中の結晶成長を定量的に測定した。Zr_<60>Ni_<25>Al_<15>合金の結晶成長速度は最大でも1mm/sであり、100K以上の過冷領域でも成長速度が増加する傾向は見られなかった。一方、Zr_2Ni化合物組成におけるZr_2Ni化合物の成長速度は、15Kの過冷度においておよそ100mm/sであり、一般的な合金の成長速度に比べると小さいが、Zr_<60>Ni_<25>A_<15>合金の成長速度の100倍以上であった。さらに、Zr_2Ni化合物組成に微量のAlを添加した組成では、成長速度は10mm/sであり、Al添加が成長速度を低下させることも分かった。また、Zr-Cu-Al系においても、金属ガラスを形成する組成では、結晶成長速度が1mm/s程度であることも明らかになった。
|