金属ガラスの過冷却状態からの結晶化のその場電子顕微鏡観察

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15074218
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 今野 豊彦 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90260447)
• 研究分担者: 堀 史説 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (20275291) ; 千星 聡 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00364026)
• キーワード: アモルファス金属 / 透過型電子顕微鏡 / 結晶化挙動 / Ti-C系 / 高分解能電子顕微鏡 / 熱分析 / 陽電子消滅 / 2次再結晶

研究概要

本年度は既存の電子顕微鏡(JEM-2000FX)にTVレートのカメラを付設し、その場観察を記録できる体制を整えた。またこの電子顕微鏡を用いて、その場観察実験を開始した。その成果の一部を2004年春の金属学会にて報告する。一方、大阪府立大学に存在する高分解能電子顕微鏡(JEM-2010)に温度制御装置を設置し、焦点ドリフトの低減に成功し、高分解能電子顕微鏡像を効率的に撮影でき、また、長時間のその場実験に耐える体制を整えた。さらに陽電子消滅によるフリーボリュームの測定体制を整えるためにガンマ線を検出できる半導体検出器を新たに設置した。
以上の設備的更新を踏まえて、本年度は予備的試験としてこれまで報告のほとんどないTi-C系のアモルファス形成能を調べた。その結果、この系ではTiがCに10%程度固溶した領域で急冷法によりアモルファスが形成されることをまず明らかにし、次にその場観察実験により、この系での結晶化が約500_iCで起こることを見出し、さらにその反応が(1)数nmの粒状TiCの析出→(2)数100nmの大きさの2次再結晶粒の成長→(3)粗大粒の球状化という過程を経ることを示した。ここで 2次再結晶は特定の<110>方位に向けて成長する。また、TiC 2次再結晶粒の成長速度を500-600_iCの温度範囲で測定し、アレニウスプロットすることにより成長が熱活性化過程によるものであること、そしてその活性化エネルギーが約130kJ/molであることを示した。

研究成果

• [文献書誌] R.Yoshimura, T.J.Konno, E.Abe, K.Hiraga: "Transmission electron microscopy study of the early stage of precipitates in aged Al-Li-Cu alloys"Acta Materialia. 51. 2891-2903 (2003)
• [文献書誌] R.Yoshimura, T.J.Konno, E.Abe, K.Hiraga: "Transmission electron microscopy study of the evolution of precipitates in aged Al-Li-Cu alloys : the θ' and T_1 phases"Acta Materialia. 51. 4251-4266 (2003)
• [文献書誌] T.J.Konno: "Recent Progress in the TEM Observation on Age-hardened Alloys"Metals and Materials International. (in press). (2004)
• [文献書誌] S.Semboshi, M.Sakurai, N.Masahashi, T.J.Konno, S.Hanada: "Effect of structural changes on degradation of hydrogen absorbing capacity in cyclically hydrogenated TiMn_2 based alloys"Journal of Alloy and Compounds. (in press). (2004)
• [文献書誌] S.Semboshi, N.Masahashi, T.J.Konno, M.Sakurai, S.Hanada: "Composition dependence of hydrogen absorbing properties in melt quenched and annealed TiMn_2 based alloys"Journal of Alloy and Compounds. (in press). (2004)