巨大ガラス形成能を有する合金液体の粘性測定と最適精密鋳造プロセス

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15074219
• 研究機関: 姫路工業大学
• 研究代表者: 山崎 徹 姫路工業大学, 工学研究科, 助教授 (30137252)
• 研究分担者: 岡井 大祐 姫路工業大学, 工学研究科, 助手 (60336831) ; 横山 嘉彦 姫路工業大学, 工学研究科, 講師 (00261511)
• キーワード: 金属ガラス / 合金液体粘性 / 液体構造 / Fe-Ni-B合金 / La-Al-Ni合金 / 過冷却液体

研究概要

金属ガラスの形成が可能な合金系を用いて、液体状態における粘性の温度依存性を測定するとともに、合金の融点以上の高温域から過冷却温度領域まで急速冷却する過程で、液体粘度と温度との関係をダイナミックに測定する新しい粘度測定法を開発することを目的とした。
逆懸垂型るつぼ振動法を用いてFe-Ni-B系合金およびLa-Al-Ni系合金の液体粘度の温度依存性を測定したところ、ガラス形成能の高い合金組成ほど、液体粘度の上昇と温度依存性の低下する傾向が認められた。これら合金液体の粘性流動の活性化エネルギー(Q)は、Fe-Ni-B系合金においては、固相において規則-不規則変態を生ずるFe:Ni=1:3の組成比において粘度の増加と、Qの低下が見られ、ガラス形成能の比較的高い組成と一致していた。一方、La-Al-Ni系合金においては、バルク金属ガラスの形成が可能な、La_<55>Al_<25>Ni_<20>において、液体粘度が極大値をしめし、Qは逆に極小値を示していた。この原因としては、液体中にクラスターが形成されると、液体粘度の上昇が見られるが、クラスターとクラスター間の結合は逆に弱まり、温度依存性は減少するモデルと考えられた。
金属ガラスの形成が可能な合金系を用いて、合金の融点以上の高温域から過冷却温度領域まで急速冷却する過程で、液体粘度と温度との関係をダイナミックに測定する新しい粘度測定法を開発を開始した。金属ガラス形成可能な試料にマイクロピンを接触させ、急速加熱・冷却中に一定荷重でのマイクロピン押し込み速度の変化、もしくは、一定速度の押し込みに必要な荷重変化をダイナミックに計測する技術を開発する。赤外炉加熱法とヘリウムガス等の雰囲気ガスの調整により、最大冷却速度としては、約100K/s程度を目標として、装置設計・試作している。これらの方法により得られた知見を基に、今後、金属ガラスの最適作製条件を検討する。

研究成果

• [文献書誌] T.Yamasaki, N.Yufune, H.Ushio, D.Okai, T.Fukami, H.M.Kimura, A.Inoue: "Viscosity measurements for Fe-Ni-B and Fe-Ni-Al-B liquid alloys by an oscillating crucible method"Materials Science & Engineering A. (in press). (2004)
• [文献書誌] D.Okai, T.Yamasaki, T.Fukami, T.Zhang, A.Inoue: "Temperature Dependence of Heat Capacity and Electrical Resistivity Based Bulk Glassy Alloys,"Materials Science & Engineering A. (in press). (2004)
• [文献書誌] T.Yamasaki, Y.J.Zheng, Y.Ogino, M.Terasawa, T.Mitamura, T.Fukami: "Formation of Metal-TiN/TiC Nanocomposite Powders by Mechanical Alloying and Their Consolidation."Materials Science & Engineering A. A350. 168-172 (2003)
• [文献書誌] Y.J.Zheng, T.Yamasaki, M.Terasawa, T.Mitamura, T.Fukami: "Formation of Ultra-fine Grained SUS3I6L Steels by Ball-milling and Their Mechanical Properties after Neutron"Materials Science Forum. 426-432. 1065-1070 (2003)