研究課題/領域番号 |
15074219
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
山崎 徹 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30137252)
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研究分担者 |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00261511)
深見 武 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20037261)
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キーワード | Zr-Cu-Al-Ni / 金属ガラス / 過冷却液体粘度 / 圧子貫入法 / 高速加熱 / 構造緩和 |
研究概要 |
Zr基の金属ガラス合金の優れた機械的性質を理解するうえで、過冷却液体粘度の温度依存性を測定することが有効である。しかしながら、Zr基の金属ガラス合金は、高温加熱雰囲気からの酸素の進入や表面酸化被膜の形成等により、正確な粘性を測定することは困難である。本研究では、高速加熱中の圧子貫入法により雰囲気からの酸素の影響が抑制し、Zr-Cu-Al-Ni系金属ガラスの過冷却液体粘度の温度依存性を明らかにするとともに、構造緩和の影響について検討した。傾角鋳造法により、直径8mmの円柱状のZr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5金属ガラス合金を作製し、厚さ2mmの円板状に切り出して試料とした。直径1mmのW製貫入ピンヘ0.049〜0.294Nを負荷し、20〜400K/minの加熱速度でガラス遷移温度から結晶化温度まで測定した。 Zr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5過冷却合金液体中への圧子貫入深さは、加熱速度が20K/minから400K/minに上昇すると粘度は大きく低下した。ΔTX=(Tg-TX)は、TXが高温度側にシフトすることにより拡大し、広い温度範囲での粘度測定が可能となった。圧子への負荷を0.049〜0.294Nの範囲で変化させても、粘度の測定値に変化は認められず、ニュートン液体鎖域で測定されていると判断された。加熱速度が200K/minで1nηと測定温度との間に良い直線関係が得られ、480℃付近から結晶化の開始による粘度の上昇が観察された。400K/minでは、測定可能な温度範囲は高温側に拡大されるが、450℃以下の低温度側では測定値が増大し、高速加熱条件下で粘度が平衡値に達していないと判断された。450℃から500℃の鎖域においては、1nηと測定温度との間に良い直線関係が得られた。構造緩和処理により、過冷却液体の粘度は低下する傾向が認められ、液体中にクラスター等の不均一構造の形成が推定された。
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