研究課題
本研究ではレーザーを使って「壁近傍のプラズマをマイクロスケールでみる」というプラズマミクロ観察の新たな領域を切り開き、これらのミクロ観察を実際に適用し、新しいマイクロプラズマ応用を進めることを目標としている。今年度の具体的研究項目と成果を次に示す。1)クロスビーム型レーザー誘起エヴァネッセント波モード蛍光法の実験をくりかえし、平均化処理を行い、ドップラーフリー型で中心周波数に対して非対称なスペクトルが得られた。この実験結果と理論計算値との最適一致から、プラズマ中のAr、1s5準安定励起原子の誘電体壁との反射率を定量的に求め、0.2であることを示した。2)光導波路型バリアー放電によるエヴァネッセント波レーザーの伝播特性を詳しく分析し、昨年度の実験の問題点を明らかにした。その結果をもとに装置や実験方法の改良を行い、Ar、20Torrのプラズマで約0.3%の光導波路伝播レーザー吸収を観測し、誘電体壁近傍準安定励起原子密度が定量的に得られた。現装置の欠点はレーザー波長掃引時の安定度が悪いことで、改良が必要である。3)電気光学結晶を用いたレーザー偏光解析により、壁電位、壁電荷を測定しているが、今年度はミリスケールやPDP用マイクロスケールの同一平面型バリアー放電に適用し、壁電荷の印加電圧、ガス圧力、ガス種類などの時間・場所依存性を詳しく測定し、解析した。4)表面処理などの応用のために空間的一様性の高いプラズマが望まれるが、それを目指してマイクロギャップバリアー放電の開発研究を始め、最適条件を求めた。また、種々形式のパルス電源を使って大気圧プラズマ減菌を行い、窒素による紫外線発光と窒素・酸素ラジカルによる相乗効果が主要な作用機序であることを明らかにした。5)イオン性生徒電荷輸送のミクロな極限を探るため、光近接場におけるCs原子気体のエネルギープーリング衝突過程の詳細な計測と、近接場効果の探求を推し進め、これに適した各種実験系を設計製作し、諸特性の計測と評価を行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Jpn.J.Appl.Phys. (submitted)
Jpn.J.Appl.Phys. 44,3
ページ: 1441-1444
Abstract of Frontiers in Low Temperature Plasma Diagnostics VI, Les Hauches, France
ページ: 23-24
IEICE Trans.Electron. E80-C
ページ: 1836-1844
Abstract of The 5th Asia Pacific Intl.Cont.2005, Niigata, Japan
ページ: 38
Surface Coatings Technology 27Aug.(accepted for publication)