研究概要 |
1)高気圧マイクロギャッププラズマに対し,ガス温度特性を明らかにするために,ガス中の熱輸送を流体力学シミュレーションにより解析した。また,Arプラズマに対して,マイクロギャップを通るガスフローを導入した場合のAr_2エキシマー発光特性について調べた。熱輸送シミュレーションの結果,外部から強制流を導入しない場合でも,ギャップ中央から外向きに噴き出した後,電極表面に沿ってギャップ中央に戻る高速対流が発生すことがわかった。この対流は,体積力(浮力)に起因するものではなく,気体のプラズマによる加熱膨張と電極による冷却収縮によって引き起こされる熱機関的駆動力によるものであり,高密度マイクロプラズマの本質的な特徴と考えられる。この対流の存在を考慮することにより,昨年度実験的に得たガス温度特性はおよそ理解できることがわかった。また,マイクロギャップを通る強制流を導入する場合,ギャップ内にプラズマが存在すると,同じガス流量を得るために必要な圧力差は,プラズマが存在しない場合より大きくなることがわかった。したがって,マイクロギャップ以外のガス流路が存在すると,プラズマを点灯したとき,ガスはプラズマ部を避けて流れることになり,プラズマ部のガス冷却効果が得られないことになる。この点に注意してガスフローを導入した結果,Ar_2エキシマー発光強度はフローが無い場合より増加することがわかった。 2)マイクロ波ストリップラインに永久磁石によりミラー磁場を印加し,ストリップライン電極間に微小なECRプラズマを生成する,マイクロECR放電装置を作成した。Arガスを用い放電形態を観測し,磁場配置を最適化するための指針を得た。ArおよびHe放電につき発光スペクトルの観測を行った。Ar^+(〜36eV)およびHe^+(76eV)のスペクトル線がかなりの強度で観測され,高電子温度のプラズマ生成が示唆された。
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