研究概要 |
周波数を2.45GHzから10GHzに上げた大気圧マイクロギャッププラズマおよび低圧ECRプラズマについてその特性を詳細に調べた。大気圧マイクロギャッププラズマでは高周波化で電子の加熱効率が上がり,より高密度のプラズマが得られることを期待した。しかし当初試作した2つの放電構造で得られた電子密度は2.45GHzの場合と比べ1/20にすぎなかった。これは同軸線路中の誘電損失又は開口部からの放射損失が大きいためと推定され,これらが少なくとも2.45GHzの場合と同程度になるように,2.45GHzの放電構造を波長比(1/4)でスケールダウンした第3の放電構造を試作した。これにより電子密度は約3倍増加したが,2.45GHzに比べると依然として小さい。そこで放射損失が原理的にほとんどないと考えられるキャビティ型の第4の放電構造を作成し計測を続行している。これによりプラズマ生成における周波数効果を明らかにしてゆく。 マイクロECRプラズマでは,高周波化により強磁界となり,プラズマの閉じ込めが良くなるとともに放電体積も小さくすることが可能であるため,高パワー密度印加によるプラズマの高密度化を期待した。マイクロギャッププラズマの場合と同様に当初の2つの放電構造は誘電損失や放射損失が大きいと考えられたので,これらをなるべく減ちす第3の放電構造を試作した。これまでに,Ar^+スペクトルの強い発光,He^+の発光(励起エネルギー>50eV)などが観測され,高電子温度が推定される。しかし多価イオンの発光は確認されていない。依然として電源パワーが十分に結合されていないと推定され,パワーカップリングを高めるため,種々の試行を継続している。
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