研究課題/領域番号 |
15076209
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (60261955)
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研究分担者 |
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00186280)
渕上 壮太郎 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助手 (00381468)
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キーワード | 分子動力学 / 蛋白質 / フォールディング / アンフォールディング / Trp Cage / バイオインフォマティクス / 構造変化 / 線形応答理論 |
研究概要 |
コンピユータシミュレーションにより、タンパク質の構造形成(フォールディング)や機能発現を計算機中で再現することは、その物理化学的原理解明のための重要な課題である。本研究では、物理化学的相互作用を基盤とする全原子分子シミュレーションを用いて、タンパク質の構造形成、および、分子認識に伴うタンパク質の立体構造変化の理論構築を行い、以下の成果を得た。 1.αラクトアルブミンのアンフォールディングシミュレーションの結果より推測された、N末端周辺のアンフォールディング速度増加の原因に関する変異体を作製し、アンフォールディングの速度過程の実験を行ったところ、分子シミュレーションによる予測と一致する結果を得た。 2.NMRで構造決定されているTrp Cageという小タンパク質のフォールディングシミュレーションを、グリッド計算技術を用いて多数回行い、58回のフォールディング軌道と31回のアンフォールディング軌道を得た。得られた軌道群をバイオインフォマティクス技術を用いてアラインメントおよび系統解析して、Trpの側差が主鎖でつくられたかごの中に入る様子を解析し、Trpの側鎖と主鎖構造の運動によって特徴づけられる特定のパスウェイを経て天然構造にいたることを明らかにした。 3.分子認識にともなうタンパク質立体構造変化は、タンパク質の最も基本的な機能発現のあり方である。本研究では、タンパク質の立体構造変化を、リガンドの非結合状態の立体構造の熱揺らぎとリガンド結合による摂動力から予測する理論の構築を行った。タンパク質の原子の熱揺らぎは、特定の方向のみ柔らかい立体構造上の特性を表しており、そこにリガンド結合による摂動力を適用すると、線形応答理論により、立体構造変化が予測できる。この理論を複数のタンパク質の構造変化に適用し、実験結果と高く相関する結果を得た。
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