研究概要 |
1.グルタミン酸脱水素酵素type II結晶の構造解析分解能を1.8Åにまで拡張し、構造精密化を完了した。これで、type I結晶の結果と合わせてドメイン運動の6つの準安定状態を明らかにし、水和構造変化とドメイン運動の協奏を見出した。また、基準振動解析プログラム:コードを開発し、ドメイン運動に関わる低振動モードが、水和構造や隣接サブユニットとの相互作用によって極限られたものであることを明らかにし、分子動力学計算を開始した。 2.シタロン脱水酵素のC末端領域の役割や構造変化の知見を得るべく、Phe156Ala, Phe158Ala, Gly170Ala変異体のリガンド非結合状態(各1.4Å分解能)、活性ポケット上部のVal75Met変異体をリガンド結合(2.5Å分解能)・非結合(1.8Å分解能)状態で、念願のリガンド非結合野生型の構造解析(2.0Å分解能)に成功した。 3.サブゼロ温度領域において、キャピラリー封入蛋白質結晶を効率よく冷却し、実用に耐える冷却装置の開発に成功した。現在、試運転を行いながらシタロン脱水酵素Tyr50Phe変異体の基質結合過程の可視化やガラス転移と水和構造の相関について構造解析実験を実施できる。 4.Protein Disulfide Isomeraseの酸化・還元に伴う構造変化をX線小角散乱実験や基準振動解析によって調べている。これまでに、全長、活性ドメインを含む2種類の部分断片について酸化・還元状態での構造パラメータや構造モデルを得ている。 5.原子間力顕微鏡による蛋白質結晶表面の観察技術開発を試みている。現在、リゾチームやグルタミン酸脱水素酵素の結晶について、その表面での蛋白質分子やドメイン配列を解像できるようになった。
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