研究課題
1.アルコール添加により形成されるβ-ラクトグロブリン(BLG)ゲルの構造とダイナミクスを中性子小角散乱および中性子スピンエコーによって研究した。エタノール濃度が20体積%まではBLGはモノマーで存在しているが、30体積%を超えると会合した。これは、BLGがα-ヘリックス-リッチ構造に変化するエタノール組成と一致した。また、TFEについても同様に、会合状態と二次構造変化の間でよい相関が得られた。エタノール、TFEのいずれの揚合もアルコール添加とともに、BLGの運動は急激に遅くなった。会合体のダイナミクスについても二次構造変化とよい相関があることを示した。2・希薄BLGの水、エタノールー水、ならびにTFE-水各混合溶媒の非干渉性中性子散スペクトルを測定した。スペクトルは局所的な速いモードとび依存性を示す遅いモードに分離された。純水中より混合溶媒中では、二つのモードの緩和は遅く、平均自乗変位は小さいことが示された。の結果は混合溶媒中では、純水中に比べてBLGの取り得るコンフォメーションが制限されることを示しており、BLGの最安定構造に到達できず、その結果、ミスフォールドを生じるというアルコール変性についての一つの機構を提案した。3.我々がデザインした人工タンパク質Amyloidgenesin-Met(以下AG-Met)について、蛍光タンパクGFPを融合させたAGMet-GFPを細胞内に導入し発現させたところ.蛍光顕微鏡観察で胞質中にドット状に会合したタンパク質がみられた.このものは、チオフラビンTで染色さることから、アミロイド様線維であることが分かった。しかし、顕著な細胞毒性が見られかったことから、このアミロイド繊維は,直接細胞死に関係のないことが示唆された。
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