研究課題
水分子と蛋白質の原子レベルの詳細を取り入れた分子シミュレーションによって、ランダムな初期構造から自然の立体構造までの折り畳みを実現した例として、プロテインGのC末端のβヘアピン(Gペプチド)の折り畳みに成功した。マルチカノニカルレプリカ交換法により、3回の独立な折り畳み現象を観測したまた、蛋白質系の分子動力学シミュレーションでは、膨大な計算時間が必要とされるので、拡張アンサンブル法の適用が必須であるが、更に、シミュレーションの時間ステップ大きく取ることができれば、それだけ長時間にわたる蛋白質の振る舞いが議論できる。しかし、時間ステップを大きく取ると、シミュレーション誤差が無視できなくなってしまうという困難がある。時間ステップを大きく取っても、誤差を低く抑えるには、分子動力学法の時間発展法にシンプレクティックなものを採用すれば良い。特に、生体系のシミュレーションでは、水分子や蛋白質の一部を剛体として扱う場合が多い。我々は剛体を含む系のシンプレクティックな時間発展抹を提案した。これは、能勢-ポアンカレの熱浴を用いるものであり、従来の手法より、シミュレーション誤差が小さく抑えられる事を示した。特に、水溶液の系で時間ステップと4fsまで大きくとっても安定した振る舞いが得られる事を示した。少し前に我々は新しい拡張アンサンブル法であるマルチバーリック・マルチサーマル法を開発したが、この手法では、一回のシミュレーションから任意の温度及び圧力における熱力学量が計算できるので、蛋白質の高圧変性の研究に特に適している。我々は水中のアラニンジペプチドの高圧実験の系にこの手法を適用し、部分モルエンタルピーや部分モル体積が実験値とよく一致することを示した。
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