平成19年度は、アメリカ・ユタ州現地に設置した500台の検出器アレイのデータ取得システムの構築に専念した。設置後の検出器に大きな損害はなく、データ収集システム・通信システムの動作確認、安定性確保への努力が継続された。95%の検出器が通信可能であり、全体を3分割した3つのサブアレイとして観測データ取得を開始した。データ解析の基本となる、シミュレーション・解析ソフトウエアの開発も継続して実施中である。Java言語を用いたシミュレーションライブラリーの構築を行った。このソフトウエア開発は日米合同で行われ、detectorシミュレーションコードについては地表検出器、大気蛍光望遠鏡ともにほぼ出揃い、全体の動作試験とチューニングを遂行中である。空気シャワーカスケードシミュレータとリアルタイムに統合してend-to-endでフルシミュレーションを実行できる支援プログラムも開発中である。またモニターデータを抜き出して各検出器の1MIP信号を同定し、光電子増倍管のゲイン較正を行うプログラムも開発し運用に供した。このことにより、シンチレータに飛び込む荷電粒子数をミューオン信号強度で規格化した絶対数を測定することが可能となり、ひいては地表アレイデータで観測された空気シャワーのエネルギー推定を実現する。この物理量をシミュレーション計算で確認し、大気蛍光望遠鏡による実地較正と連動させるためのフレームワーク作りにも着手している。
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