研究概要 |
最高エネルギー宇宙線の放射機構と放射源天体を明らかにするために始まった特定領域研究の中で,本研究では,最高エネルギー宇宙線がつくる空気シャワーを観測するための地表検出器アレイの開発を担当してきた。このアレイは,AGASAの10年分の観測結果を約1年で収集して統計精度を格段に向上させることを目指して開発が進められ,最終的に3m^2の面積の検出器が500台以上1.2km間隔で配置され,全体で約700km^2の検出面積を持った空気シャワーアレイとなって平成19年度にほぼ完成した。これまでの実績をまとめると,平成18年度までに,検出器の開発は終了し,検出器配置もほぼ完了した。すなわち,シンチレーターとウェーブレングスシフターファイバーからなる薄型軽量の粒子検出部の開発,環境に配慮した外観設計,長期間の自立動作のための電源系の開発が完了した。平成18年度から平成19年度にかけて行なわれた検出器設置によって,これまでに503台の地表検出器の設置が完了している。また平成19年度には,検出器のデータ収集・自動較正プログラムの開発,データ収集ステーションとの通信状態の改善が行なわれた。結果として,現在までに,503台のうち約95%の地表検出器が空気シャワーアレイとして稼動しており,定常的な空気シャワー観測が行なわれている。今後は残り5%め検出器との通信状態の改善,5台程度の検出器の追加設置を行なうと共に,研究目標の達成に向けた定常観測の継続とデータ解析に力を注ぐ予定である。
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