研究概要 |
最高エネルギー宇宙線の放射機構と放射源天体を明らかにするために始まった科研費特定領域研究「最高エネルギー宇宙線の起源」の中で, 本計画研究では, 最高エネルギー宇宙線がつくる空気シャワーを観測するための地表検出器アレイの開発・製造を担当した。このアレイは, AGASAの10年分の観測結果を約1年で収集して統計精度を格段に向上させることを目指して開発が進められた。平成20年に検出器4台の追加設置を行い, 面積3m2の検出器507台が1.2km間隔で配置され, 全体で約700km2の検出面積を持った空気シャワーアレイとして完成した。完成後現在まで, 常時全台数のうち95%以上が観測のための正常な動作を続けている。 平成20年度は, 装置の安定的運用とデータ解析に注力した。すなわち, 検出器の動作モニターデータの定常的な解析, 検出器の定常的較正の実施, 空気シャワーデータの解析(物理解析)を重点とした。これまでの運用によって, AGASAとほぼ同程度の統計量の事象数を検出できたものと見積もっている。これらの事象に関する物理解析の結果は平成21年7月の第30回宇宙線国際会議で公表する予定である。 また, 平成20年度にアレイのトリガー系を改良した。アレイは3つの領域に分けられているため, 領域の境界での事象の取りこぼしがあったが, これを無くしアレイ全体で一様な検出効率となるように改良した。平成20年11月より現在まで一様な検出効率での運用が続けられている。
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