研究概要 |
最高エネルギー領域の宇宙線にいわゆるGZKカットオフ(~10^20eV)を越えるものがあるか, カットオフがあるとすればその構造がどうかは, GZK領域の宇宙線の起源を解明する上できわめて重要で, 新しい物理への突破口となる可能性を秘めている. GZK領域の宇宙線を観測する米国Utahでの実験で宇宙線のエネルギーを精密に決定するために, これまで空気シャワーの精密シミュレーションコードの開発を行ってきた. これは通常の方法では1つのイベントを発生するのに数年以上の時間がかかるのを分散処理とデータベースを使い克服する画期的なものである. この手法を実用化し, 結果を検討する過程でさらなる精密化が必要であることが判明した. 具体的には粒子の到着時間分布の精密化, 空気シャワー中心域から離れた地点での粒子密度のイベント毎の揺らぎの精密化である. 今年度はその改良に傾注し3月に完成をみた. 今夏行われる宇宙線国際会議での発表に備え、イベントの大量生成とデータ解析への応用を行っている. これには韓国側協同研究者も参画している. シミュレーション・コードは実験に裏打ちされたものである必要があり、そのため、GE剛で建設中のLHC加速器を用いた実験結果でコードの検証を行う計画であった. LHC加速器は2009年内に稼動が期待されていたが建設中の事故により稼働が1年以上遅れる見通しとなった. このため検証を本計画の最終年度内で行うことは不可能のなった. 検証は今後の実験を待つ. 相互作用モデルの新たな構築に向けて原子核理論研究者との研究会を3回開催した。カラーグラス凝縮を取り入れたモデルの構築を今後進めることとなった. シミュレーション用のサーバが老朽化したので新たにサーバを購入し今後に備えた.
|