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2003 年度 実績報告書

レパートリー制御による免疫監視機構の再生

研究課題

研究課題/領域番号 15078102
研究機関東京理科大学

研究代表者

久保 允人  東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (40277281)

研究分担者 樗木 俊聡  秋田大学, 医学部寄生虫学, 教授 (50233200)
キーワードサイトカインバランス / T細胞機能分化 / Th1 / Th2 / 免疫監視 / IL-4 / SOCS
研究概要

免疫監視機構は外界からの異物に対し、一連の時間経過の中で自然免疫・獲得免疫・免疫記憶などが形成される事によりsecurity systemを構築する。免疫監視機構が効率的に確立されるためには、異なる機能を持つリンパ球集団(レパートリー)が形成される必要があり、自然免疫の段階では樹状細胞(DC)やNKT細胞に、獲得免疫の段階ではヘルパーT細胞・細胞障害性T細胞・B細胞などに異なるレパートリーが存在する。またT細胞のなかには反応の沈静化を制御するレギュラトリーT細胞などもある。免疫監視機構はこれらレパートリーを平衡状態に保つ事により維持することにより監視機構を維持しており、加齢や過度の感染・変異細胞の蓄積等エピジェネティックな影響は、レパートリーに歪みを生み、その結果として免疫監視機構が変調し、アレルギー疾患・リウマチなどの自己免疫疾患・日和見感染などが起こる。本研究は、免疫監視機構が機能する「場」において時間軸上で複雑に形成される免疫レパートリーのホメオスターシスがどのように変調へと繋がるのか理解を深め、これら情報を基盤としてレパートリーの変調を補正することにより免疫監視機構を再生・強化し、アレルギー・自己免疫疾患等の免疫疾患の病態を人為的にコントロールすることを目的とする。
Th1とTh2のバランスの変化が多くの免疫性疾患の病態の形成・予後に関係している事から、Th1とTh2の分化を制御する分子機構を明らかにする事はその人為的制御に直接貢献しうる課題と考えられる。そこで、Th1とTh2分化制御に関わるシグナル伝達に焦点をあて、分化の制御機構について検討した。サイトカインシグナルを抑制的に制御しているSOCSファミリー分子はTh1及びTh2分化の成立において重要な働きを持つ事から、アレルギーや自己免疫疾患とSOCSファミリー分子の発現との関係を明らかにする事により、サイトカインネットワークによるレパートリー制御のメカニズムを明らかにした。SOCS5とSOCS3はT細胞においてそれぞれIL-4とIL-12のシグナルを抑制して、Th2とTh1分化をそれぞれ抑制することにより、Th2とTh1反応を亢進させる働きを持つ。本年度、我々はSOCS5とSOCS3をT細胞特異的に高発現する遺伝子改変マウスを作製し、リステリア・リーシュマニア感染および細菌性敗血症の反応系、およびアレルギー性炎症反応によって起こる抗原特異的気道過敏反応において、これら分子の役割を解析した。その結果、T細胞におけるSOCS3遺伝子の発現は、アレルギー炎症の惹起に深く関与しており、その発現や機能を制御することにより、サイトカインバランスを制御することが病態の制御につながることが明らかにされた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Yagi, R., Suzuki, W., Seki, N., Inoue, T., Kohyama, M., Arai, T., Kubo, M.: "The IL-4 Production Capability of Different Strains of Naive CD4^+ T cells controls the Direction of the Helper T cell response"International Immunology. 14. 1-11 (2002)

  • [文献書誌] Yagi, R., Nagai, H., Iigo, Y., Akimoto, T., Arai, T., Kubo, M: "Development of the atopic dermatitis (AD)-like skin lesions in signal transducers and activators of transcription (STAT) 6 deficient NC/Nga mice."Journal of Immunology. 168. 2020-2027 (2002)

  • [文献書誌] Arima, M., Toyama, H., Ichii, H., Kojima, S., Okada, S., Hatano, M., Cheng, G., Kubo, M., Fukuda, T., Tokuhisa, T.: "A putative silencer element in the IL-5 gene recognized by Bcl6."Journal of Immunology. 169. 829-836 (2002)

  • [文献書誌] Seki, Y., Hayashi, K., Seki, N., Matsumoto, A., Seki, N., Tsukada, J., Ransom, J., Naka, T., Kishimoto, T., Yoshimura, A., Kubo, M.: "Selective expression of suppressor of cytokine signaling-5 (SOCS5) in type 1 helper T cell negatively regulates IL-4 dependent STAT6 activation."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 99. 13003-13008 (2002)

  • [文献書誌] Kinjyo I, Hanada T, Inagaki-Ohara K, Mori H, Aki D, Ohishi M, Yoshida H, Kubo M, Yoshimura, A.: "SOCS-1/JAB is a negative regulator for LPS-induced macrophage activation."Immunity. 17,5. 583-591 (2002)

  • [文献書誌] Matsumoto, A., Seki, Y., Watanabe, R., Hayashi, K., Johnston, J.A., Harada, Y., Abe, R., Yoshimura, A., Kubo, M: "A role of Suppressor of Cytokine Signaling-3 (SOCS3/CIS3/SSI3) is CD28 mediated IL-2 production."J.Exp.Med.. 197. 425-436 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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