研究課題
特定領域研究
免疫監視機構においてSOCS分子は様々な局面でサイトカインネットワークを修飾することにより、免疫ホメオスターシスを制御する働きを持っている。本年度は、自然免疫性の反応である細菌性の敗血症に対する防御反応におけるSOCS5の働きを検討した。T細胞においてSOCS5を高発現することにより、初期防御反応における細菌感染に対する抵抗性が亢進する事が明らかになった。また一方、T細胞においてSOCS3を発現させた場合は、アンフェタミンによって誘導される肝炎が悪化することから、炎症病態におけるSOCS3の新しい局面を明らかにすることができた。一方、腸管免疫系内のT細胞におけるSOCS1の発現は、炎症性大腸炎などの発症を惹起していた。SOCS1はその強い抑制活性から、末梢におけるT細胞ではSOCS1の発現は抑制されている必然性を持つ。胸腺から末梢に移行してきたナイーブT細胞は、その恒常性を保つためには持続的にサイトカインシグナルを受け取る合目的がある。そのためSOCS1の発現は抑制されなければならないシステムであることを、恒常的にT細胞特異的にSOCS1を発現するマウスを用い証明した。SOCS分子はヘルパーT細胞の分化をサイトカインバランスという観点から統御する働きを持つことから、これを基盤にSOCS分子による免疫ホメオスターシスに関する知見をまとめ報告した。これら事例に基づき、我々はSOCSによるサイトカインバランスをシミレーションするシステムを考案し、薬剤探索でのその有効性を報告した。
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