研究概要 |
1)一個体が生涯に複数回の感染を経験する環境下で抗原特異的CTLの調節機構を明らかにすることを目的とし、複数の抗原提示システムを利用して複次感染モデルを作成し、抗原特異的CTLの消長を検討した。その結果、同一抗原の二次感染において抗原特異的CTL応答は、その大半が二次感染時に既に存在するmemory CTL(メモリー応答)で構成されるものの、少量ではあるが新規にnaive CD8 T細胞が活性化されたプライマリー応答が含まれることを明らかにした。メモリー応答とプライマリー応答のTCRレパトアを解析したところ、プライマリー応答がメモリー応答で絞り込まれたクローンを補充補完するように幅広いクローンから構成されていて、CTLクローンは再感染においてクローンがダイナミックに回転交代していることを明らかにした。 2)Foxp3^+CD4^+制御性T細胞(nTreg)の生体内におけるnTregの局在、DCサブセットとの相互作用およびケモカインによる動態制御の詳細は確立していない。末梢におけるT細胞免疫誘導の場であるリンパ節におけるnTregについて解析した。その結果Foxp3^+ nTregは主にリンパ節傍皮質領域に局在しており、自己免疫寛容に重要な役割を果たすCD8a^+DCまたはCD11b^-CD8a^-DCと高頻度に接触していることを明らかにした。またFoxp3^+ nTregの血行性のリンパ節遊走には、傍皮質領域で生じるCCR7依存的なルートと髄質領域で生じるCXCR4依存的なルートが存在する事を明らかにした。組織由来DCはCCR7を介してリンパ行性にリンパ節傍皮質領域に遊走する事から、CCR7がDC, nTregおよび通常のT細胞とのクラスター形成を制御し、T細胞応答制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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