研究概要 |
緊急反応としての病原細菌・ウイルス感染などにおける抗原特異的免疫反応の場の構築のための免疫細胞サブセットのダイナミックな生体内移動のケモカインによる制御を明らかにすることを主な目的とした。そのために、1.感染局所における炎症と局所リンパ節における抗原特異的免疫応答をリンクする抗原提示細胞である樹状細胞サブセットの移動機序とその機能2.局所リンパ節における抗ウイルス性CTL誘導の場に参画する細胞の機能分担3.制御性T細胞の末梢リンパ節移動機序とリンパ節内局在4.CTLメモリー細胞の維持機序と生体内移動などについて主に解析した。その結果、1.感染局所における炎症と局所リンパ節における抗原特異的免疫応答をリンクする抗原提示細胞である樹状細胞サブセット、mDCsとpDCsの移動機序とpDCの、"immune-networker"あるいは"helper DC"としての全く新しい概念を提示した。2.局所リンパ節における抗ウイルス性CTL誘導の場に免疫応答を負に制御すると想定される制御性T細胞の末梢リンパ節移動機序とリンパ節内局在、細胞クラスター形成を明らかにした。本研究はケモカインシステムによるnTregのリンパ節遊走制御を直接証明し、またリンパ節領域によりケモカイン依存性が異なることを証明した最初の仕事である。3.抗ウイルス性CTLメモリーT細胞の繰り返し感染における永続的維持機構に関し、従来CTLメモリー細胞は繰り返し感染において同じクローンが何度も何度も永続的にexpansion, contractionを繰り返すとされた通説を覆す全く新しい概念を提示した。
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