研究概要 |
μ3B欠損マウスではてんかん発作およびシナプス小胞の形成異常が認められる。μ3Bによりシナプス小胞に組み込まれる標的分子の候補としてZnT3やVGATが考えられる。ZnT3,VGATは複数膜貫通蛋白質で、N末およびC末ともに細胞質に露出していると考えられる。そこでこれらの領域のGFP融合蛋白質を作製し、神経細胞様に分化する培養細胞株PC12に遺伝子導入して細胞内局在を検討した。その結果、ZnT3,VGATともにN末、C末の両者に細胞内局在シグナルが存在することが示唆された。 μ2欠損マウスは、受精後3.5日胚以前という発生のごく早期に致死であることがわかった。すなわち、μ2は細胞の生存そのものに必須であることが示唆された。 μ1B欠損マウスは胎生致死の可能性を考えCre-loxP系により、組織特異的欠損の導入を可能にしてある。本年度は、Cre-Tgマウスと交配することにより、μ1B欠損をヘテロに持つマウス、neomycin耐性遺伝子のみを欠失したマウスを得た。現在腸管特異的Cre-Tgと交配することにより、腸管特異的μ1B欠損マウスを作成中である。 また、トランスゴルジ網に局在しエンドソーム-トランスゴルジ網間の輸送を制御すると考えられるtGolgin-1に結合する蛋白質を酵母2ハイブリッド法にてスクリーニングした結果、tGolgin-1のcoiled coil-2領域に結合する分子としてCLASP-2という微少管結合蛋白質が複数クローン単離された。現在t-Golgin-1とCLASP-2との結合が特異的なものであるか検討中である。もし結合が特異的であれば、CLASP-2のどの領域がtGolgin-1との結合に必要か、またCLASP-2とtGolgin-1の結合が細胞内輸送にどのような意義を持つのかを検討する予定である。
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