研究概要 |
最近同定したクラスリンのアダプタータンパク質ファミリーGGAは、哺乳動物には3種類存在し、様々なタンパク質と相互作用することにより,マンノース6リン酸受容体(M6PR)等のトランスゴルジネットワーク(TGN)からエンドソームへの輸送を調節する。GGAにはN末端側からVHS,GAT(GGA and Tom1),ヒンジ,GAEの4つの機能ドメインが存在する。GATドメインは、GGAファミリーだけでなく、これまで機能不明のTom1タンパク質にも存在する。これまでに、低分子量GTPaseのARFがGGAのGATドメインには結合するが、Tom1のGATドメインには結合しないことを示していた。本研究では以下のことを明らかにした。 1.突然変異体を用いた解析から、ARFはGATドメインのN末端側のサブドメイン(N-GATサブドメイン)に結合する可能性を示した。N-GATサブドメインは、GGAとTom1の間の保存性は低い。 2.GGA1のGATドメインとARFの複合体のX線結晶構造解析を行ない、GATドメインとARFの結合様式を明らかにし、突然変異体を用いた解析データと矛盾しないことを示した。 3.ユビキチンがGGAとTom1の両方のGATドメインに結合することを発見した。さらに、これらはユビキチンとの結合に依存してユビキチン化されることを示した。 4.突然変異体を用いた解析とX線結晶構造解析のデータを考えあわせることにより、ユビキチンはGATドメインのC末端側のサブドメイン(C-GATサブドメイン)に結合する可能性を示した。
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