研究概要 |
低分子量GTP結合タンパク質ARFは,オルガネラ間のタンパク質輸送を行う輸送小胞の形成を調節する。活性化された(GTP結合型)ARFはオルガネラ膜に結合し,その部位にCOPI, AP-1,GGAなどのコートタンパク質複合体をリクルートして輸送小胞の形成を開始させる.さらに,GTP結合型ARFは,さまざまなエフェクタータンパク質を相互作用することにより小胞輸送を調節する.本研究では,ARFおよびARF様タンパク質と相互作用するエフェクタータンパク質の機能を解析することにより,小胞輸送の調節機構を解明をめざした. ARFおよびRab11とArfophilinの相互作用 Arfophilin/FIPは,ARFおよび別の低分子量GTP結合タンパク質Rab11と相互作用する.本年度は,Arfophilin/FIPに関して以下のことを明らかにした. 1.GTP結合型のARFとRab11は,Arfophilin/FIPのC末端の別個の領域に同時に結合できることを示した. 2.Arfophilin/FIPはRab11によってリサイクリングエンドソームにリクルートされ,そこにさらにARFがリクルートされることを証明した. 3.ドミナントネガティブArfophilin/FIPを細胞に発現させると,VSVGのTGNから細胞表面への輸送が異常になることを示した. ARL1およびARFRP1の細胞内機能の解析 ARL1とARFRP1はともにARF様タンパク質であり,相互作用することによりGRIPタンパク質をTGNにリクルートすることにより,小胞輸送を調節する.本年度はこれらの低分子量GTPaseに関して以下のことを明らかにした. 1.ARL1やARFRP1をsiRNAによりノックダウンすると,VSVGのTGNから細胞表面への輸送が異常になることを示した. 2.ARFRP1の結合タンパク質として,NSFおよびCOPI複合体のαおよびβ'サブユニットを同定した.
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